借金があると就職に不利?内定を取り消される?借金と就活のギモンを解決!

■借金の有無は就活に影響しない

結論からいえば、借金の有無が就職や内定に影響することはないといえます。その理由は主に2つです。

まず1つ目に、企業が人材を選考する際は、適正と能力以外の事柄を基準として用いてはならないことが、法律で定められていることが挙げられます。日本ではすべての人に対し、憲法により基本的人権の1つとして「職業選択の自由」が認められています。

職業選択の自由とは言い換えれば、「就職の機会が誰にとっても平等であること」です。そのため企業には、面接時の選考において、借金の有無などといった適正と能力以外の基準を用いて不当な選別を行うことを回避する義務があります。

また、2つ目の理由として、そもそも企業には特定の個人の信用情報を知る術がないことが挙げられます。個人の借金の借入額や返済履歴などの情報は、信用情報として国内にある3つの信用情報機関に保管されています。

信用情報を閲覧できるのは、各信用情報機関に加盟している企業のみです。しかし、加盟企業に対しても自由に閲覧する権限が与えられているわけではなく、個人の信用情報を確認するには必ず、本人の承諾が必要となります。また、各信用情報機関の規約においても信用情報を採用基準として用いることが禁止されており、この規約に違反した場合は企業に対して罰則の適用もあります。

■企業に信用情報を知られる可能性はある?

「企業は個人の信用情報を知り得ない」と前述しましたが、より厳密にいえば、個人の信用情報を知る方法がまったくないわけではありません。信用情報は厳重に管理されており、本人の許可がない限り他人が閲覧することはできません。しかし、本人には開示請求を行い、自分の信用情報を確認する権利が認められています。

そこで、内定後に企業から送られてくる入社書類の一部に、「信用情報開示申込書」が含まれている場合があります。必要事項を記入した開示申込書と住民票などの本人確認書類があれば、企業が本人に代わって信用情報機関へ開示請求を行うことも不可能ではありません。

■借金を理由に内定を取り消されたら

「まだ実際に働いているわけではないのだから、内定の取り消しは会社都合で行える」と考えている企業は少なくありません。しかし、法律上は、内定の段階ですでに雇用契約が成立しているとみなされます。

つまり、内定の取り消しは解雇と同等であり、よほどの理由がなければ妥当だとは判断されないのです。そして、憲法や信用情報機関の定める規約に違反していることからも、借金があることを理由とした内定の取り消しは明らかに無効だといえるでしょう。

企業には、内定者からの請求があった場合は、内定取り消しの理由を明示する証明書を交付することが義務づけられています。内定を取り消されたら、まずは内定取り消しの理由に関する証明書を発行してもらいましょう。

「内定取り消しの理由は借金があること」と堂々と書かれているケースはほとんどないでしょうが、借金があること以外にほかに思い当たる節がないのであれば、証明書に記載の内定取り消し事由が妥当である可能性は極めて低いといえます。

「内定取り消しの無効を主張したい」「内定取り消しが無効だからといってその企業に就職はしたくないが、損害賠償は請求したい」といった方は、一度労働問題に詳しい弁護士へ相談してみましょう。

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