通勤中に事故に遭ってしまった……労災認定を受けられる?

■通勤中の事故は「通勤災害」として労災認定を受けられる

労災には、業務を行っているときに起こったけがや病気、死亡である「業務災害」と、就業に関する移動中に起こったけがや病気、死亡である「通勤災害」とがあります。たとえば、自宅から勤務先である会社へ向かっている最中に、「乗っている電車やバスが事故を起こしてけがをした」「歩いているところに車や自転車が突っ込んできた」「自分が運転している車で事故を起こしてしまった」などのケースは、いずれも「通勤災害」として労災認定を受けることが可能です。

また、通勤災害の指している“通勤”は、「就業に関する移動」です。そのため、単に自宅から勤務先までの行き帰りの事故だけでなく、以下のような移動の最中に起こった事故に対しても、労災保険を適用することができます。

・会社と取引先間の往復

・ある取引先から別の取引先への移動

・取引先から自宅に直帰する場合の移動

・単身赴任先の住居から出張先までの移動

など

ただし、会社からの帰宅途中に映画を観に行くなど、就業に関する移動の経路から離れた場合(日用品の買いものなどは除きます)は、その時点から就業に関する移動とは無関係になります。そのため、経路を逸脱した先での事故に関しては、通勤災害とは認められない可能性が高くなります。

■労災で受けられる補償

労災保険の適用で受けられる補償には、主に以下のようなものがあります。

・療養給付

労災によるけがの治療や病気の療養にかかる費用を補償してもらえます。

・休業給付

労災によるけがや病気が原因で、働けなくなった期間の給与を補償してもらえます。対象となるのは休業から4日目以降で、1日当たり平均賃金の6割に相当する額が支給されます。

・介護給付

労災によるけがや病気のために、介護が必要になったときに支払われる補償金です。

・障害給付

労災によるけがや病気が原因で後に障害が残ってしまった場合、その後遺障害に対して支払われる補償金です。

・遺族給付

労災により家族を亡くした方に支払われる補償金です。

・葬祭給付

労災により亡くなった方の葬儀を行う際にかかる費用の補償金です。

このように、労災保険の適用を受けると、非常に手厚い補償が受けられます。通勤途中で交通事故に遭った場合、また、交通事故を起こした場合、自賠責保険を利用することもできますが、自賠責保険と労災保険の適用を同時に受けることはできません。しかしながら労災保険には、自賠責保険にはない数多くのメリットがあります。

・過失相殺(被害者側にも過失=事故に対する責任がある場合、その過失に応じて補償を減らすこと)がない

・一時的に仕事ができなくなっても休業給付が受けられる

・示談の成立前でも補償金が支給される

・療養給付に上限がない(病院での窓口負担はゼロ)

仕事にかかわる移動で事故に遭った場合は必ず労災申請を行い、労災保険の適用を受けましょう。

■会社に労災を認めてもらえないときは?

業務災害とは異なり、通勤災害の場合は基本的に会社側の責任は問われないため、会社に労災申請を断られるケースは少ないといえます。にもかかわらず会社に労災申請を認めてもらえない場合、その会社が労災保険に加入していない可能性が考えられます。

正社員やパート、アルバイトなどの雇用形態にかかわらず、従業員を1人でも雇う場合、労災保険に加入することは会社の義務です。しかし、会社が労災保険に加入する義務を怠っていても、会社は後から保険金の徴収を受けますが、労働者が労災保険の適用を受けられないことはありません。

また、労災申請は会社の承認がなくても行えます。労災保険の補償を受けることは、紛れもなく労働者の権利です。通勤災害に遭われた方で会社に労災申請を断られた方、申請方法がわからない方、会社ともめたくない方は、一度労働問題に詳しい弁護士へ相談してみましょう。

関連記事