離婚後に出産した子どもの養育費を元夫に請求することはできるの?

■養育費を支払うことは親としての義務

親には子を扶養する義務があり、子どもの世話をし育てていくうえでかかる費用である養育費についても、当然に支払う義務を負います。ですから親である以上、支払いたくないという自分の都合で養育費の支払いを拒否することはできないのです。

ここで問題となるのは、子どもの親として養育費を支払う義務があるのは、法律上の親子関係があるときだということです。言い方を変えると、たとえ血縁関係があろうとも、法律上で親子と認められていない場合には、子どもを扶養する義務も養育費を支払う義務も負いません。

たとえば、婚姻中の男女間に子どもが生まれた場合、夫がCの法的な父親、妻が法的な母親となります。この際の子どもと父母の法的な親子関係は、原則として一生続きます。ですから、夫と妻が離婚し、妻が親権を取得して子どもを育てることになった場合、親権者でないからといって元夫に親としての扶養義務がなくなるわけではなく、元夫には離婚後も子どもの養育費を支払う義務があります。

また、離婚後に元妻が別の男性と再婚し、子どもと再婚相手が養子縁組をする場合も、元夫の養育費を支払う義務が完全にはなくなるわけではありません。元妻の再婚相手の経済力が低い場合などでは、子どもの生活を保障するため、元妻の再婚後も元夫が養育費を支払い続けなければならないケースがあります。

■妊娠中に離婚した場合の法律上の父親は?

一方で、離婚した後に子どもが生まれた場合、子どもを産んだ母親は当然に、子どもにとっての法律上の親となります。しかし、子どもの生まれるタイミングによっては、元夫が法律上の父親と認められないことがあります。

【子どもが離婚後300日以内に生まれた場合】

離婚が成立してから300日以内に子どもが生まれた場合、親権は母親が持ちますが、元夫は子どもの法律上の父親となるため、子どもは元夫の戸籍に入ります。つまり、元夫と子どもの間には法律上の親子関係があるので、たとえ離婚後に生まれた場合であっても、元妻は元夫に対して、子どもの養育費を請求することができます。

【子どもが離婚後301日以降に生まれた場合】

離婚が成立してから301日以降に子どもが生まれた場合、法律上は、子どもの父親を元夫だと推定することはできないとされています。そのため、子どもは非嫡出子(=婚姻していない男女の間に生まれた子ども)として、母親の戸籍に入ります。つまり、子どもには法律上の父親が存在しないので、元夫には子どもを扶養する義務(=養育費を支払う義務)がないことになります。

■離婚後に出産した子どもの養育費を元夫に支払ってもらうには?

【子どもが離婚後300日以内に生まれた場合】

この場合は前述のとおり、元夫には法律上、子どもの養育費を支払う義務があります。養育費の支払いを求めても拒否される場合は、家庭裁判所へ養育費請求調停の申し立てを行いましょう。

ただし、離婚後300日以内に生まれた子どもの父親は、法的にはあくまでも“推定”にすぎません。そのため、元夫から嫡出否認や親子関係不存在確認の訴えがあり、元夫の子どもではないことが証明された場合は、元夫に養育費の支払いを求めることはできません。

【子どもが離婚後301日以降に生まれた場合】

この場合、元夫には子どもとの間に法律上の親子関係がないため、たとえ実父であっても、養育費の支払いを求めることができません。しかし、元夫が自分の子であると認める「認知」という手続きを行えば、元夫と子どもとの間に法的な親子関係が発生するので、元夫に養育費を請求することも可能です。

認知は、父親が自ら認知届を提出する「任意認知」という方法で行われるのが一般的です。ただし、父親が子どもの実親であるにもかかわらずその事実を認めない場合は、調停や裁判で認知を争う「強制認知」という手段もあり、認知が認められれば相手の意思に関係なく、養育費を請求することができます。

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