熟年再婚で相続トラブルを防ぐために押さえておきたいポイントは?

父親が熟年再婚した場合の相続はどうなる?

a. 父親の再婚相手が独身だった場合

熟年再婚で相続が大きな問題となる最大の原因は、「配偶者は常に相続人になる」ことが法律で定められていることにあります。父親が母親と死別したり離婚したりして独り身だった場合、父親が独身のまま亡くなれば、父親の遺産はすべて子どものものになります。

しかし、父親が別の女性と再婚した場合、新しいパートナーは父親の配偶者として遺産の相続権を持つことになります。配偶者の相続分は1/2と法律で定められているので、再婚後に父親が亡くなった場合は、父親のパートナーが遺産の半分を相続し、もう半分を子どもが相続することになります。

b. 父親の再婚相手に連れ子がいる場合

再婚相手に子どもがいる場合も、相続は基本的にaのパターンと同じです。新たなパートナーと婚姻関係になっただけでは、パートナーの連れ子と父親との間に法的な親子関係が生じないため、相続権を持つのは再婚相手の女性だけとなります。

しかし、父親がパートナーの子どもと養子縁組をした場合、父親はパートナーの連れ子の養父となり、法的にも親子関係が生じます。この場合は再婚相手の女性だけでなく、その連れ子にも父親の遺産を相続する権利が発生します。そのため、再婚後に父親が亡くなると、半分の遺産は父親のパートナーに渡り、残りの半分を、父親の実子とパートナーの連れ子とで平等に分けることになります。

父親からすれば、残りの人生を一緒に歩みたいと思えるパートナーに巡り会えたのですから、自分の子どもにも祝福してほしいと思うのは当然のことです。しかし、遺産とはいってみれば、故人が一生をかけて築いた努力の証です。いずれのケースにせよ、子どもの立場から考えてみると、長らく独り身だった父親に突然見ず知らずのパートナーが現れ、血のつながりもない他人に大事な父親の財産を奪われるような気持ちになってしまうのは、無理もないかもしれません。

熟年再婚にともなう相続トラブルを防ぐには?

「自分には少しの貯金と持ち家くらいで大した資産もないし、相続の問題は起こらない」と考えている方は多いものです。しかし、2010年の司法統計によれば、家庭裁判所を通じた遺産に関わる紛争のうち、1,000万円以下が3割、1,000~5,000万円以下が4割。“大した資産もない”からこそ「わずかな資産を赤の他人に奪われるなんて」という気持ちにもなり、トラブルに発展しやすいものなのです。

熟年再婚にともなう相続トラブルを防ぐには、相続についてどのように考えているのか、再婚の際に父親へ確認しておく必要があるでしょう。ただし、いきなり相続などお金に関することをストレートに尋ねられると、親の側もあまりいい気はしないもの。「老後の生活のこともちゃんと考えてるの?」といったように、言葉選びには十分注意しましょう。

可能であれば、父親のパートナーや子どもを含めた父親の相続人を集めて、オープンに相続の話し合いができる機会を設けるのが理想です。先に解説したa・bのパターンはいずれも、あくまで法定相続分ですから、父親が遺言書を書くことにより、自分の意思を反映した遺産分割とすることができます。

もちろん、本人の意思に反して遺言書を無理やり書かせるようなことはできませんが、父親や相続人すべてが話し合いで納得できたうえで、法的にもきちんと有効だと認められる公正証書遺言を作っておけると、後々の相続トラブルの回避につながるのではないでしょうか。

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