離婚した夫が突然死した……離婚慰謝料は現在の妻へ請求できる?

離婚時、元夫に不倫やDVなどの確かな離婚原因があった場合、離婚慰謝料の支払い額は大きな金額になることが予想されます。慰謝料などの損害賠償金は原則として一括で支払うものですが、相手の経済力によっては一括払いが叶わない場合もあります。より確実に妥当な慰謝料を支払ってもらうため、分割払いを了承した女性も多いのではないでしょうか?

しかし、もちろん起こってほしくはないことですが、病気や事故などが原因で、元夫が突然亡くなってしまうケースもあります。そのような場合、未払いの離婚慰謝料を現在の妻に請求することは可能なのでしょうか?

■元夫が支払うべき離婚慰謝料を現在の妻に請求できる?

人が亡くなると、ほとんどのケースで発生するのが相続の問題です。「自分には残せる財産はないので、相続の問題など関係ない」と考えている方は少なくありませんが、遺された家族が相続しなければならない財産は、何もプラスの財産に限ったことではないのです。借金やクレジットカードの未払い分など、マイナスの財産を含むすべての財産が、相続の対象となります。

また、相続においてもうひとつ大きなポイントとなるのが、どのような場合であっても、亡くなった方の配偶者は必ず、遺産の法定相続人になるということです。慰謝料とは債務、つまりマイナスの財産ですから、元夫の配偶者である現在の妻は、本来ならば元夫が支払うべき慰謝料について、それを元妻であるあなたに支払う義務をそのまま引き継ぐことになります。つまり、元夫が未払いの離婚慰謝料を残したまま亡くなった場合、未払い分を現在の妻に請求することが可能なのです。

■相続放棄されたら離婚慰謝料も請求できなくなる

相続放棄とは、プラスの財産も含めて一切の遺産を相続しないことをいいます。つまり相続人には、マイナスの財産も含めて一切の遺産を相続する(=単純承認)選択肢がある一方で、それとはまったく逆の、すべての遺産を相続しないという選択肢も残されているのです。

現在の妻が相続放棄を選んだ場合、当然ながら慰謝料という債務も相続しません。したがって、相続放棄を選んだ時点で現在の妻があなたに慰謝料を支払う義務はなくなり、あなたが現在の妻に元夫の離婚慰謝料を請求する権利も喪失します。ちなみに、相続放棄には、相続すべき財産があることを知ったときから3ヶ月以内の手続きの期限があります。

■万が一のことがあっても確実に離婚慰謝料を支払ってもらうには?

先のことは誰にもわからないのですから、将来にわたって確実に離婚慰謝料を支払ってもらうためには、離婚時点で万が一の事態に備えた対策を講じておくべきです。協議離婚で離婚慰謝料の分割払いを決めた場合、離婚協議書を強制執行力のある公正証書として作成し、慰謝料額や分割払いの方法など詳細を記載しておくのがベストな方法です。万が一に備えるならば、元夫に連帯保証人をつけてもらい、連帯保証人の名前も公正証書に記載してもらうようにしましょう。

元夫の連帯保証人が同時に法定相続人であった場合、相続を放棄したとしても、連帯保証債務者として負っている慰謝料の支払い義務はなくなりません。そのため、元夫の死亡後はその連帯保証人に対して、未払いの離婚慰謝料を請求することが可能です。公正証書の作成は自分でも可能ですが、行政書士などの専門家へ任せるとさらに安心でしょう。

もし、元夫の現在の妻が離婚当時の不倫相手で、どうしても現在の妻に離婚慰謝料を支払わせたい場合は、元夫との離婚慰謝料とは別に、現在の妻に対して慰謝料を請求しましょう。不倫の慰謝料請求は、配偶者だけでなくその不倫相手に対しても可能です。ただし、不倫に対する慰謝料請求には時効があります。弁護士など法律の専門家へお早めにご相談ください。

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