会社都合と自己都合の違いって?解雇じゃなくても「会社都合退職」で失業手当が受け取れるケース

日常生活では「退職」をわざわざ自己都合と会社都合に分けて考えるシーンはあまりないかもしれませんが、「自己都合退職」と「会社都合退職」、この2つは、法的には大きな違いがあります。ここでは、それぞれの違いや会社都合退職のメリット、会社都合退職にあたるケースなどを具体的に見ていきましょう。

■退職には2つの種類がある

退職には、自己都合退職と会社都合退職の2つの種類があります。自己都合退職とは、労働者側から労働契約を解消すること、つまり、従業員が自らの意思で会社を辞めることをいいます。一方で、会社都合退職とは、使用者側から労働契約を解消すること、つまり、労働者には辞める意思がないにもかかわらず、業績悪化や経営不振などの事情により、会社側から一方的に辞めさせられることをいいます。

会社都合退職の場合、労働者は自分の意思とは無関係に、生活の基盤となる職を失うわけです。そこで、会社都合退職では、失業手当の支給に関して自己都合退職よりも優遇されています。自己都合退職、会社都合退職のそれぞれにおける失業手当は、以下のとおりです。

【自己都合退職の場合】

失業手当の支給開始:ハローワークに離職票を提出後、7日の待機期間を経て、さらに3ヶ月の給付制限が経過した後(実際に給付金が振り込まれるのは、離職票を提出した日から約4ヶ月後)

失業手当が支払われる期間:90~150日

【会社都合退職の場合】

失業手当の支給開始:ハローワークに離職票を提出後、7日の待機期間が経過した後(実際に給付金が振り込まれるのは、離職票を提出した日から約1ヶ月後)

失業手当が支払われる期間:90~330日

会社都合退職のほうが、一般的にメリットが大きいといわれるのは、このように失業手当の給付において優遇を受けられるためといえます。

■解雇以外の会社都合退職にあたるケース

会社都合退職の代表的なものといえば「解雇」ですが、解雇以外にも会社都合と認められるケースがいくつかあります。

・会社の倒産
・事業所の廃止
・従業員の離職(1ヶ月に会社単位で従業員の1/3を超える人員の離職or事業所単位で30人以上の離職)
・退職推奨

ただし、退職推奨の場合は、会社から退職をすすめられて納得し自ら退職を申し出ると、自己都合退職扱いとなります。また、解雇の場合も、労働者側に非がある場合の「懲戒解雇」では、会社都合とは認められません。

■会社都合退職なら、退職願や退職届は求められても書かない

会社都合退職にされることは、会社側にとっては何かとデメリットになるもの。そのため、明らかに会社都合のケースであっても、自己都合として退職手続きを進めようとする悪質な企業も少なくありません。その手口として、会社都合退職であるにもかかわらず、従業員に対して退職届(退職願)の提出を求める方法があります。

退職届は従業員のほうから退職を申し出たことの証明になるため、たとえば後々不当解雇で争いたいとなっても、退職時に書かされた退職届が、自分にとって不利な証拠になりかねません。紛れもなく会社都合退職であるならば、会社から求められても退職届は提出しないようにしましょう(法律上は、退職届を書かなくても辞められますし、退職金ももらえます)。

また、違法残業の強制、セクハラ・パワハラ、一方的な労働条件の変更、賃金未払いなど、退職もやむを得ないと判断できる事情があった場合には、会社に自己都合退職として処理されてしまった後でも、ハローワークが会社都合と認めてくれるケースがあります(ただし、雇用契約書や就業規則、タイムカードなどの証拠提出を求められたり、ハローワークが事業者へ報告を求めたりすることも)。自己都合退職に納得できない場合は、一度ハローワークで相談してみてください。

とはいえ、多くの方が「会社都合=解雇」というイメージを持っているとおり、会社都合には少なからずマイナスのイメージも付きまとうことをお忘れなく。面接のやり方などにもよるでしょうが、会社都合退職だと転職の際に不利になる可能性もあるので、失業手当のことだけでなく慎重に考えるのが賢明です。

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