育休明けで職場復帰したら異動を命じられた……拒否することはできる?

育休が明けたばかりでの部署異動は、慣れない職場環境で新しい業務にあたることになり、お母さんにとっては精神的にも肉体的にもツラいもの。子どももまだまだ手がかるし、できれば元の職場に戻してほしい……というのが本音ではないでしょうか?ここでは、育休明けの部署異動を法的に拒むことは可能なのか、詳しく見ていきます。

■従業員の望まない異動に違法性はあるの?

異動によって職務内容や職場環境が大きく変わることは、従業員にとっては大きな負担になることもあります。一方で、異動や配置転換、転勤などは、仕事のマンネリ化防止、業務効率化、従業員のスキル向上・能力開発など、業務を円滑に進めていくため、また、会社が成長していくためには必要だという側面もあります。

そのため、会社には従業員の人事に関して一定の権利が認められており、従業員は基本的に、会社の異動や配置転換、転勤などの命令には従うべきとされています。つまり、従業員からしてみれば不本意に思える異動であっても、それが就業規則や労働契約など一定のルールに則って行われたものであれば、異動そのものに違法性はないのです。

■育休明けの部署異動は拒否できる?

とはいえ、どんな異動も会社の裁量で自由に決めてよいのであれば、雇われる側である労働者が著しい不利益を被ることになります。そこで、異動などの命令が会社の「権利濫用」と認められる場合は、その命令を拒否することができるとされています。

会社の異動命令が権利の濫用にあたるかどうかは、次の3つのポイントより判断されます。

1.業務上の必要性……「この人でなければならない」といった厳格性までは必要なく、一定の合理性が認められればOK

2.動機・目的の妥当性……嫌いな従業員を支店へ追いやる、異動により暗に退職をすすめる、といった不当な理由ではNG

3.従業員の不利益の程度……キャリアや給与など仕事に関わることは比較的考慮されるものの、プライベートに関わること(転勤にともなう単身赴任など)は考慮されない傾向

また、育児・介護休業法においては、異動などによって育児に支障をきたす場合は、就業場所に配慮しなければならないとの規定があります。加えて、厚生労働省の指針は、「原則として、育休明けは原職、もしくは原職相当職に復帰できるよう配慮すること」を会社側に求めています。

とはいえ、業務を遂行するためには、産休・育休で空いたポストをそのままにしておくわけにはいきませんし、代わりの従業員がすでに見つかっている場合など、元の職場に復帰させるのが難しいケースもあります。また、育児・介護休業法も厚生労働省の指針も、会社側に小さな子どもを持つ親への配慮を求めてはいるものの、育休明けの異動そのものを禁止しているわけでも、原職への復帰を強制しているわけでもありません。

そのため、異動に業務上の必要性と目的の妥当性があり、異動にともなう降格や減給など明らかな不利益がない限り、「時短勤務でそもそも就労時間が短いのに、保育園のお迎えなどもあって、新しい部署での仕事を覚えるのは精神的にも体力的にも厳しい」といった理由では、育休明けの異動を拒むことは難しいと思われます。

育休明けに職場復帰する際、会社側とトラブルにならないためには、産休に入る前に、復帰後の業務や勤務先についても社内担当者としっかり話し合っておくことが重要です。

■会社の異動命令に納得できないときは

ただし、妊娠・出産を理由として、会社が以下のような不利益な扱いをすることは「男女雇用機会均等法」において禁止されています。

・解雇や雇止め

・労働条件の変更(正社員から非正規社員へ変更するなど)

・降格 ・減給

・昇進や昇格に関わる人事考課で不当な評価をすること

・育児に一切の配慮のない配置転換(自宅から勤務先まで著しく距離がある、時短勤務を利用できない、など)

育休明けに、異動にともなってこのような不当な扱いを受ける場合は、はっきりと異動を拒否することが可能です。ご自身での解決が難しいときは、各都道府県の労働局などにご相談ください。

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