事実婚関係にあった元夫に養育費の支払いを拒絶された……支払わせる方法はないの?

養育費を支払うことは、子を扶養する親の義務のひとつ。たとえ離婚したとしても子どもの親であることには変わりないのですから、本来ならば養育費の支払いを拒むことはできません。

しかしこれは、あくまでも婚姻届を出して法律的に夫婦となった男女の間に生まれた子どもの話。法的には婚姻関係と認められない事実婚では、何も手続きをしないと父親と子どもの間には法的な親子関係が発生しないため、父親に養育費の支払いを拒まれても受け入れざるを得ないケースがあるのです。

そこで今回は、事実婚や内縁関係の夫、元夫に子どもの養育費を支払わせる方法を解説します。

■事実婚では認知しない限り養育費を請求できない!

父と母にはいずれも、どちらが親権者となるかにかかわらず、親として子を扶養する義務があります。ただし、子の扶養義務があると判断されるのは、あくまでも法的な親子関係があるときのみです。

婚姻中に妊娠した子どもの法律上の父親は、夫であるとされます。これを「嫡出推定」といいます。婚姻届を出していない男女の関係である事実婚では、この嫡出推定が及びません。そのため、事実婚関係の夫婦の間に生まれた子どもには、法律上の父親が存在しないことになります。

事実婚のように、婚姻していない男女の間に生まれた子どもと男親との間に法的な親子関係を生じさせるには、「認知」という手続きが必要です。認知とは、父親がその子を自分の子どもであると認めることをいいます。

事実婚では父親が認知をしない限り、子どもの養育費を請求することはできないのです。もちろん、事実婚関係を解消する前に父親が子どもを認知していれば、すでに法律上の父子関係が発生しているのですから、元夫が養育費の支払いを拒むことはできません。

■事実婚関係の元夫に養育費を支払ってもらうまでの流れ

婚姻届を出していない事実婚関係の場合、子どもを認知してもらっていない場合はまず、認知してもらう手続きから進めなければなりません。「認知届」を役所へ提出するだけなので、手続き自体は難しいことはありません。父親に子どもを認知してもらうと、養育費が請求できるようになるほか、子どもに父親の遺産を相続する権利も発生します。

子の養育費としていくら支払ってもらうか、また、支払い方法などについては、2人で話し合って決めてかまいません。しかし、後から養育費の支払いが滞るケースは決して少なくないので、金額から支払方法(例:毎月月末に○○円指定の口座に振り込む)、支払い期間(例:子どもが大学を卒業するまで)などをこと細かく記した文書を作成し、公正証書にしておくのがベストです。

公正証書は裁判所の調書などと同じ公文書ですから法的拘束力があり、万が一取り決めどおりに養育費を支払ってくれなかった場合は、財産差し押さえなどの強制執行も可能になります。当事者間では養育費の話し合いがまとまらなかった場合は、家庭裁判所に「養育費請求調停」を申し立てることも可能なので、検討してみましょう。

■夫が認知してくれない場合は

ここまで、事実婚関係の夫に養育費を支払わせるまでの流れを解説してきましたが、元夫が養育費の支払いを拒絶しているような場合では、そもそも認知をしてもらえないケースが多いでしょう。その場合は、裁判で子どもと事実婚関係にあった元夫との間に血縁関係があることを証明できれば、強制的に認知の手続きを進めることも可能です。

ただし、認知に関しては先に調停を行うのが原則ですから、まずは家庭裁判所へ「認知調停」を申し立てます。なお、認知調停の申し立ては、子どもが生まれた後はもちろんのこと、妊娠中でも可能です。

認知するかしないかで子どもの相続権なども変わってくるため、個々の状況しだいではありますが、子どもの将来のことを考えるならば認知は進めておいたほうがよいといえるかもしれません。

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