従業員がうつ病に。本人が大丈夫といっても休職させるべき?休職中の給与支払いはどうなるの?

昨今、「うつ病」で労災認定を受けるケースが増加しており、精神疾患を抱えながら業務に従事している従業員も少なくありません。従業員や部下が「うつ病」と診断された場合、本人が出社できるといっているならば、そのまま仕事を続けさせても問題ないのでしょうか?今回は、従業員がうつ病と診断されたときに会社がとるべき対処法について解説していきます。

■本人の言葉だけを鵜呑みにして判断するのはNG

うつ病の診断を受けた場合、もちろん症状の程度にもよるでしょうが、心身ともに健康な状態と比較すれば、その従業員は明らかに正常な判断力が欠けているはずです。そのような状態では、いくら本人が出社できるといっても、そのとおりに仕事を続けさせることは適切であるとはいえません。

会社には、従業員が心身ともに健康に働けるよう配慮する義務があります。うつ病の従業員を働かせ続けた結果、症状が悪化してしまったら、たとえうつ病の発症原因が会社にはなくても、症状が悪化したことの責任を問われるのは会社です。従業員がうつ病のために正常な判断ができない可能性があることははじめからわかっていたのですから、「本人が大丈夫だといったから」という言い逃れはできないのです。

従業員がうつ病だとわかったら、まずは本人とよく話し合って、仕事に復帰しても問題ないと思われる状態になるまでは、心身を休めるよう努めてもらいましょう。このとき、何が何でも出社させないなど、従業員の気持ちを完全に無視して無理やり休ませるのは禁物。会社都合の不当な休職だとして、休業手当や慰謝料を請求される可能性もあるためです。

従業員との話し合いでは、本人にきちんと休職を納得してもらうことが大切です。また話し合いの際には、必ず医師の診断書を確認しましょう。症状の程度によっては休職ではなく業務時間の短縮で問題ないケースもありますが、その判断も会社基準で勝手に行わないこと。必ず医師の診断書を基準にしてください。可能であれば、従業員の診察に上司などが同行するのがベストです。

■会社に休職中の賃金を払う義務はない

会社は、会社都合(経営不振など)で従業員を休ませるのでない限り、休職中の賃金(手当)を支払う義務を負いません。うつ病と診断された従業員を、心身の健康を優先して休ませることは会社都合とはいえません。

そのため、同ケースにおいて休職中に賃金を支払わないことは、問題ないといえます。ただし、就業規則に休職中の賃金支払いに関する規定がある場合は、その規定に従って賃金の支払いが必要になります。

病気が原因で仕事を続けることが難しくなった場合、就業規則に規定がない限り従業員が会社から賃金や手当をもらうことはできません。しかし、健康保険から平均給与の2/3にあたる傷病手当の支給を受けることが可能です。従業員からうつ病になったと相談を受けたら、傷病手当金の受け取りにも協力するよう努めましょう。

■就業規則に「休職中の報告義務」の記載を

うつ病が原因で従業員を休ませる場合、休職理由は公にしないか、周知しても「体調不良で……」などといっておく程度に留めるケースが多いのではないでしょうか。これはもちろん、本人の気持ちに配慮するという意味でも必要なことです。しかし、場合によっては、休職理由をはっきりさせないことがかえって周りの不信感を招くこともあります。

たとえば、体調不良で休職しているはずの同僚が数日間旅行に出かけていると耳にすれば、うつ病を患う本人にとっては心身のリフレッシュに必要なことでも、一緒に働いている同僚から見れば、「仕事をさぼって遊んでいる」と思われるかもしれません。また、業務に穴をあけるわけにはいかないので、会社としては、いつ頃復帰できるのかといったある程度の目安も把握しておきたいところです。

このようなときのために、就業規則には休職者に対する「休職中の報告義務」を定めておくようにしましょう。報告義務を定めておけば休職中も、従業員の動向や体調、現在の状況などを定期的に報告してもらいやすくなります。

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