離婚後10年経っても慰謝料は請求できる? 慰謝料請求の基本を徹底解説!

離婚の理由はさまざまです。財産分与も慰謝料も何も求めないという約束で、離婚すること自体を優先的に考える人もいるでしょう。しかし、落ち着いて考えてみれば、合意した離婚の条件に後悔をする場合もあります。

離婚後10年が経過して、お互いにそれなりに財産を築いているからと、今からでも慰謝料を請求することは可能なのでしょうか。

そこで今回は、離婚の慰謝料請求について、その基本から清算条項まで徹底解説します。

■離婚の慰謝料請求って一体何なの?

離婚すれば必ず慰謝料が発生するわけではありません。

じつは、民法の離婚に関わる条項の中に、「慰謝料」という項目はないのです。この「慰謝料」の法的根拠は「不法行為による損害賠償」(民法第709条)請求にあります。

例えば交通事故で他人に損害を与えた場合と同じく、離婚の慰謝料も不法な行為によって、相手側に損害を与えたから支払われるものなのです。

ここでいう「不法行為」とは、離婚であれば不貞行為や暴力などであり、「損害」とは、精神的な苦痛のことをいいます。この「損害」も細かく分けることができます。

・「相手方の浮気や不倫、暴力など」により精神的苦痛を受けた

・「相手方の浮気や不倫、暴力などで婚姻関係が破綻した」ことにより精神的苦痛を受けた

・「相手方の浮気や不倫、暴力などが理由で離婚に至った」ことにより精神的苦痛を受けた

このような「不法行為」がなければ、ただ、相手方が財産を築いたからという理由で請求しても、認められません。

■離婚の慰謝料請求にも時効がある?

それでは、「不法行為」があったとして、10年経過後に、慰謝料を請求できるのでしょうか。

原則、答えはノーです。

というのも、民法には「時効」や「除斥期間」という制度があり、一定期間を過ぎれば権利が消滅するとなっているからです。

そして、この「不法行為による損害賠償請求」にも「時効」があります。

・「被害者又はその法定代理人が損害および加害者を知った時」から3年

・「不法行為の時」から20年

損害や加害者を知った時なので、一般的な場合には離婚成立時から3年で消滅時効が完成します。

ただ、「不法行為」とは全く違う理由で離婚に至り、その後、婚姻中に不法行為があったことを知り、精神的苦痛を受けたような特殊な事情がある場合は、離婚後10年経過しても認められる可能性があります。

この場合は以下のようになります。

・「不法行為」である不貞行為などがあったことを知った時から3年

・「不法行為」である不貞行為がされた時から20年

このほか、離婚における「財産分与請求」(民法第768条)、過去の「婚姻費用」(民法第760条)、「年金分割」(厚生年金保険法第78条の2など)も同じく、2年という消滅時効があるので、離婚後、時効期間を超える場合は、請求しても認められません。

■「清算条項」の有無で大きく変わる!

ここまで、離婚の慰謝料請求について解説してきましたが、一つ注意事項があります。

「財産分与も慰謝料も何も求めないという約束」、つまり「清算条項」です。

この「清算条項」とは、離婚に際して記載した権利・義務以外に何らの債権債務もないと当事者双方で確認したものです。

「清算条項」がある場合は、基本的に新たな財産分与請求や慰謝料請求は認められない可能性が高いでしょう。

ただ、子どもがいる場合、その「養育費」については、「清算条項」の範囲が及びません。そもそも相手方には子どもの扶養義務が存在するため(民法第877条)、夫婦間の合意であっても、扶養権利者である子どもから請求があれば、認められるでしょう。

流れとしては、相手方との話し合い、それがまとまらなければ「家庭裁判所の家事調停手続き」、「審判」による決定となります。離婚などのナイーブな事情は千差万別、それぞれが抱える事情で結論も大きく変わります。まずは、専門家である弁護士などに相談をした方が確実でしょう。

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