入社後と仕事内容が違う!“ブラック求人”に巻き込まれたときの対処法

■即刻退職することはできるが、慰謝料の請求は難しい

労働基準法という法律では、労働者と雇用契約を結ぶ際には、賃金や労働時間、その他の労働条件について明示することが義務づけられています。事前に明示する必要のある労働条件の中には、「就業の場所(勤務地)と従事すべき業務に関する事項(仕事内容)」も含まれます。

そして、万が一、知らされていた労働条件と実際の仕事内容や待遇とが違った場合は、労働者は即時に労働契約を解消することが可能です。通常、労働者側からの労働契約の解除には少なくとも退職日から2週間前以上の告知が必要ですが、このケースでは事前の告知も必要ありません。

ただし、退職に際して会社側に慰謝料の請求が可能かというと、慰謝料まで認められるケースは少ないといえます。まず、業務の内容に関していえば、面接時と入社時では社内の状況が違っているケースもあり、職種や業務内容の決定・変更、部署の異動などに関しては、ある程度企業側に裁量権が認められているためです。

また、待遇面に関しても、口頭で説明されただけだったり、そもそも雇用契約時に受け取った書面に記載の内容があいまいだったりすると、「面接時といわれていた待遇が異なる」という主張の立証が難しくなります。

慰謝料とは法律に違反する行為(=不法行為)により、被った損害に対して請求するものであるため、企業側の不法行為を証明できなければ、請求は認められないのです。

■未払い賃金・残業代などは請求が可能!

面接時に聞いたことと実際の仕事内容や待遇が異なる場合、先述のとおり、企業へ慰謝料の請求などを求めることは難しく、企業側との話し合いの中で地道に改善を求めるしかありません。とはいえ、待遇面などで万が一法律に違反している部分があれば、その点に関してはきちんと法的な措置を取ることが可能です。

たとえば面接時に、「土日祝日は基本的に休み、臨時のときには出勤もある程度」と説明を受けていたとします。そして、実際には、当然のように月に何度も休日出勤がある場合、休日出勤自体を違法だとして、訴えを起こすことは難しいでしょう。

しかし、休日出勤や時間外労働(残業)に対しては、割増賃金を支払うことが法律で定められています。もしも法律に規定された割増賃金が正しく支払われなかった場合は、未払い分を請求することが労働者の権利として認められています。

■ブラック求人に巻き込まれたときの対処法

面接時に実際とは異なる労働条件を提示し、労働者を雇い入れようとするいわゆる「ブラック求人」は、実は現在増加している労働問題のひとつです。ブラック求人に巻き込まれる方が増えている背景には、労働基準法により「労働条件や待遇の明示」が義務づけられているものの、その記載方法については明確な決まりや基準がない問題があります。

そのため労働者側が、面接時に労働条件や待遇などを提示される際、しっかりと見極める目を持たなければなりません。面接時に明示される労働条件などはきちんと書面にて交付することが義務づけられていますから、面接時には書面の内容と突き合わせながら、気になる点があれば口頭でも確認することが重要です。

その際、言葉をにごされたりあいまいなままごまかされたり、納得のいく説明でなかったりするようであれば、ブラック求人の可能性が高いと判断できます。また、このとき受け取る書面は、入社後に実際の仕事内容や待遇について企業へ改善を求める際にも必要ですから、きちんと保管するようにしておきましょう。

面接時と実際の仕事内容や待遇が異なる場合、厚生労働省が運営する「労働条件相談ほっとライン(※)」へ対応を相談することも可能ですし、未払い賃金の請求なども考えている場合は、弁護士へ相談するのもおすすめです。

労使関係において、労働者はどうしても弱い立場になりがちですから、一人で抱え込まず、ぜひ専門家の力を借りてみてください。

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