相続登記丸わかり! 相続登記の放置トラブルを防ぐには?

故人が残した遺産を相続したあと、何か忘れていることはありませんか?

それは「相続登記」です。

裁判所での調停や審判での遺産分割、また弁護士などの専門家に依頼した場合は、手続きまで助言をもらえるかもしれません。しかし、相続人同士の話し合いで、問題なく遺産分割が決まった場合などは、法律の知識がなければ気付かない可能性もあります。

今回は、「相続登記」とは何か? 相続登記を放置したことによるデメリットなども併せてご紹介します。



■相続登記とは?

遺産分割が問題なく決まれば、遺産を各相続人に移転する必要があります。

例えば、預貯金であれば解約して金銭の分配、生命保険金では請求の手続きに入るでしょう。物(動産)であれば現実に相続人へ引き渡すことをしなければなりません。それでは、土地や家などの不動産であれば、どうすればいいのでしょうか。その手続きが「相続登記」なのです。

民法では、「不動産に関する物件の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない」(民法177条)と定められています。不動産を自分の所有物だと主張するためには、「故人の名義」になっている不動産を「自己名義」に変更する必要があるのです。

●どうして「登記」が必要か?

例えばカバン(動産)であれば、その物を持っている人が所有者だろうと見当がつきます。しかし、土地や建物などの不動産については、一見して誰が所有者か分かりません。取引したものの、相手がその不動産の本当の所有者ではなかったとなれば、損をするかもしれないと、不動産取引に対して消極的になるでしょう。

そのため、土地や建物の所在や面積、所有者の住所や氏名などを登記簿に記載し、一般公開する制度を整えました。これが不動産登記です。土地や建物の権利関係を明確にすることで、取引の安全を図ろうとしたのです。



■相続登記を放置した場合のデメリット

相続登記を放置した場合、土地や建物を相続して実際の所有者になったとしても、登記簿に記載されていない以上、第三者に主張しても対抗できない場合があります。

例えば、不動産の二重売買です。

遺産分割協議の末、ようやく故人の土地を相続することができたとします。これからこの土地をどうしようかと思いながら、そのまま相続登記をせずに放置をしていたところ、他の相続人が登記をしていないことをいいことに、その土地を自己所有だとして第三者に売却しました。

この第三者が不動産登記をした場合、残念ながらこの第三者には土地の所有権を対抗することができません。先に不動産登記をした方が土地を所有することができるのです。

というのも、登記簿とは違う内容を認めてしまえば、今後の不動産取引が安全でないと消極的になります。相続したにもかかわらず、登記をしなかった方にも責任があるとの考えです。

また相続登記が放置されると、土地や建物の実際の所有者が把握できません。社会問題になっている空き地や空き家が、その一例です。まちづくりのための公共事情にも影響し、個人の利益だけでなく、社会の利益も損なう恐れがあるのです。



■相続登記をするまでの流れ

それでは、実際に「登記」をするにはどのような流れになるのでしょうか。

●「登記」をするには地方法務局(管轄の本支局・出張書)の窓口へ

所有権を移転する登記を法務局の窓口で行う必要があります(郵送でも可)。本来であれば、登記権利者(例えば買主)と登記義務者(例えば売主)が共同申請することになっていますが、相続登記は、登記義務者が故人であるため、登記権利者である相続人だけで行うことができます。

(1)登記申請書

申請に必要な書類として、「登記申請書」を作成します。

遺言の場合、法定相続の場合、遺産分割の場合など、相続の方法により申請書が異なるため注意が必要です。

 

(2)添付書類

 ・相続が発生したこと及び相続人を特定するための証明書

  ※具体的には、被相続人(故人)の出生から死亡までの戸籍謄本、除籍謄本等のほか、相続人となる人の現在の戸籍謄本が必要となります。

 ・相続人全員の住民票の写し

 ・代理人が申請する場合は、代理についての委任状

 ・登録免許税

※原則、収入印紙で納付します。

 なお、遺産分割の場合には、遺産分割協議書の添付が必要となります。

●便利な制度

相続登記を促す便利な制度もあります。

(1)不動産登記のオンライン申請

仕事が忙しくて法務局に行けないという人のために、オンライン申請も可能です。申請用総合ソフトをダウンロードして、申請情報を作成します。そして、登記の申請に必要な添付情報とともに、「登記・供託オンライン申請システム」に送信するという手続きになります。



(2)法定相続情報証明制度

平成29年5月29日より相続手続きを簡易にするため、「法定相続情報証明制度」が創設されました。これまでは、故人の戸除籍謄本などの書類を、銀行や登記所など各種窓口に何度も提出する必要がありましたが、登記所(法務局)に戸除籍謄本などの書類と相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)を提出すれば、認証文つきの「法定相続情報一覧図の写し」を無料でもらえて簡易化されます。

相続手続きを多数行う場合は、この写しを利用することができ、煩雑な手続きから解放され時短にも繋がることになります。



まだ相続登記をされていない場合は、早急に対処が必要です。速やかにお近くの法務局に問い合わせをするか、もしくは弁護士などの専門家に相談し、具体的な手続きを行うことをお勧めします。

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