夫が体調不良の原因? 「夫源病」を理由に離婚はできるか?

「夫が家にいる週末は体調がすぐれないし、平日も夫が帰宅すると具合が悪くなる…」

「夫の空気を読まない発言を聞くたびに、ガマンできないほどイライラする」

夫がいること自体がストレスで体調不良をおこしてしまう「夫源病」。これを理由に離婚はできるのでしょうか。

巷で話題の「夫源病」の正体から、離婚の基礎知識ともいえる「離婚原因」の内容まで、まとめて一気にご紹介します。

■夫源病とは?

「夫源病?…」何か新しい病気が流行っているのではと思われた方もいるでしょう。

じつは「夫源病」は正式な病気の名称ではありません。医師の石倉文信氏が、男性更年期外来を開設し、治療の協力を得ようと患者の妻を診察したことがきっかけで、提唱された造語なのです。夫の言動や夫の存在自体に対する不平不満がストレスとなって、妻の心身に不調をきたす症状を「夫源病」と名付けたといいます。

具体的には「更年期障害」と似た症状が表れ、頭痛、めまい、動悸、息切れ、耳鳴り、不眠、気分の落ち込みなど、症状は多種多様です。これまで「更年期障害」と分類されていたケースも、じつは「夫源病」なのではという指摘もされています。



■離婚のパターンは2つ

それでは、「夫源病」を理由に、離婚をすることができるのでしょうか。

そもそも、離婚が認められるには2つの方法があります。

(1)同意する

裁判所を通さずに、夫と妻である当事者双方の話し合いによって、互いの同意があれば離婚することができます(協議離婚)。

協議離婚の際には、離婚の理由は問われません。理由がなくとも離婚することはできます。なお、話し合いがまとまらなかった場合でも、裁判所の力を借りて調停での離婚に合意する場合(調停離婚)や、和解に応じて離婚する場合(和解離婚)もあります。

(2)判決による

夫婦のどちらかが、絶対に離婚することを認めない場合があります。このように、いつまで経っても話し合いは平行線をたどり、最終的に離婚の同意を得られない場合には、訴訟を起こして裁判所の判決で離婚が成立することができます。

ただ、判決で離婚が認められるには、民法に規定されている「離婚原因」が必要です。

家庭裁判所が「離婚原因」につき「ある」と判断した場合は、相手が離婚に同意していなくても離婚が成立することになります。



■離婚原因にはどのようなものがある?

民法に明記されている「離婚原因」には、以下の5つがあります(民法770条)。

 

・配偶者に不貞な行為があったとき(1号)

・配偶者から悪意で遺棄されたとき(2号)

・配偶者の生死が3年以上明らかでないとき(3号)

・配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき(4号)

・その他結婚を継続しがたい重大な事由があるとき(5号)

1号~4号はある程度具体的な内容といえますが、5号は非常に抽象的な文言です。

「その他結婚を継続しがたい重大な事由があるとき(5号)」とは、言い換えれば、「夫婦関係が破綻していて回復の見込みがない」ことを意味します。例えば、暴力、精神的暴力(モラルハラスメント)、別居、性格の不一致、宗教活動、セックスレスなどの事情は該当する可能性があります。このうち、一般的に「一方的な暴力」「長期間の別居」などは、5号の事由に比較的認定されやすいと理解されています。



■「夫源病」は「離婚原因」にあたるか?

協議離婚などの場合は、相手の同意さえあれば、「夫源病」であれ、他の理由でも離婚できます。

注意すべきは、判決離婚の場合です。「破綻」して「回復の見込みがない」と判断する基準が明確でなく、運用上、「裁判官次第」というところがあります。特に夫婦の在り方など、個人の考えが影響をしやすい分野であるため、裁判官が変われば結果も大いに変わる可能性があり、予測が難しいのです。

そもそも判決離婚は、「婚姻」という当事者双方の契約を、裁判所が当事者の意向によらずに破棄するのと同じ意味合いがあり、例外的な場合に限られるというベースがあります。つまり、誰がみても「破綻」して「回復の見込みがない」という状況がない限り、認められる可能性は低いと捉えた方がよいでしょう。

それでは、「夫源病」は「夫婦関係が破綻していて回復の見込みがない」と言えるのでしょうか。

「夫源病」は高圧的で、妻の気持ちを理解しない夫の言動などが理由といわれており、場合によっては夫の行動が「モラルハラスメント」に該当する可能性があります。そのため、「夫源病」を主張するのであれば、ただ単に事実を述べるだけでなく、客観的な証拠を残すことが重要となります。

例えば、夫の言動や日頃の夫の態度などを、こまめに記録に残しておくことをお勧めします。録音や、日記(日時や言動の内容)への記録、また体調が悪くなった際は、病院で診察を受け、「ストレスが理由」など症状が明記された診断書なども取っておきましょう。



「夫源病」での離婚は判定が難しいのが実情です。そのため、行動を起こす前に、まずは弁護士などの専門家へ相談することをお勧めします。

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