病気で休むことを理由に解雇された場合の対処法

「病気になり、会社を4ヶ月休んでいます。先日、会社から『休職期間が終了したので解雇する』と言われてしまいました。辞めなければいけないのでしょうか。」

病気になれば、まず治療に専念したいところですが、病気を理由に解雇も可能であれば、精神衛生上、気も休まりません。会社に復職できるのかが気になって治るものも治らないのは、本末転倒といえます。

そこで、今回は、病気で休むのが解雇事由にあたるのか、労働基準法や労働契約法の基礎知識も併せて解説します。



■解雇できる場合とは?

解雇とは、会社側の一方的な意思で労働契約を終わらせることです。解雇は労働者の身分を著しく不安定にさせるため、解雇できる場合を特に法律で定めています。

・解雇事由を書面で明らかにしておくことが前提

まず、解雇する前提として、会社側がしておかなければならないことがあります。

それは、解雇事由の明示です。あとから「解雇」といわれても、どのような事情が解雇となるか事前に知らなければ、防ぐこともできません。このように、解雇の不意打ちを防止するため、入社時に、どのような事由が解雇となるか、解雇事由を含めた労働条件を書面で明らかにしておく必要があります(労働基準法15条)。

また従業員が10人以上となれば、就業規則を作成し、その内容の中に解雇事由を入れておく必要もあります(労働基準法89条)。

・解雇事由があっても「合理的な理由の存在」が必要!

解雇事由があっても、それですぐに解雇になるわけではありません。

労働契約法16条には「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と定められています。

労働者からすれば、「解雇」は生活の基盤となる「労働する機会」をなくす重大な出来事といえます。そのため、事前に「解雇事由」を周知していても、それで自由に解雇できるわけではないのです。条文通りに客観的な合理的な理由が必要となります。なければ解雇は無効となるのです。



■さらに、解雇するには解雇予告の手続きが必要!

解雇事由が明示され、客観的な合理的な理由があっても、解雇するには段階を踏む必要があります。労働者からすれば「明日から解雇」といわれても、生計を立てる術を失うわけですから、準備もままならず、路頭に迷うことになります。

そのため、解雇するには、少なくとも解雇の日の30日前に予告をする必要があるのです(労働基準法20条)。

なお、解雇予告手当(1日につき平均賃金1日分)を支払えば、支払った分の日数を早めることができるとされています。

ただ、例外的に、天災地変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能な場合などは、解雇予告や解雇予告手当の支払いがなくても無効とならず、解雇が可能です。



■業務上のケガや病気なら、休業後30日間は解雇できない!

上記の事由にかかわらず、業務の中でケガや病気になった場合の休業ならば、原則、休業期間及びその後の30日間は解雇ができません(労働基準法19条)。ちなみに、通勤途中のケガなどは「業務上」の負傷とはいえないので、注意が必要です。

また、同様に、産前産後休業を行う期間及びその後30日間も、原則解雇ができません(労働基準法65条)。



■「解雇」と告げられた場合の対処法

それでは、実際に「解雇」と告げられた場合、労働者としては何ができるのでしょうか。

まずは、慌てずに冷静になること、そして今回の解雇が法律上の「解雇できる場合」に該当するのか、一つずつ確認する必要があります。

今回のケースでは病気のために4ヶ月会社を休み、会社側から「休職期間が終了したから解雇」と告げられています。

まず、業務上の病気であれば、休業期間とその後の30日間は解雇ができないので、30日経過していなければ解雇は無効となるでしょう。

また、業務上ではなく私傷病であれば、以下の項目の確認が必要となります。

・就業規則があれば、就業規則の中の解雇事由を把握すること

・就業規則の解雇事由が客観的で具体的に示されているか

(労働契約書や労働条件通知書も確認しておく)

・解雇事由に自分の事情が該当するのか

・就業規則に病気の場合の休職規定などがあるか、あればその通りの措置がされているか

・30日前の解雇予告の手続きがとられたか

納得がいかない場合は、泣き寝入りせずに、会社側に詳しい説明を求めることをお勧めします。

特に就業規則で休職期間の規定があるにもかかわらず、それを満たしていないなどの事情があれば、合理的理由がないともいえます。

上記の項目で一つでも該当しない場合は、解雇は無効だと主張することも必要です。



会社からの「解雇」は精神的にもダメージが大きく、すぐにはどうしていいか分からないものです。

周りには、労働基準監督署や都道府県の公的窓口、弁護士などの専門家と、多種多様に相談できる場所が開設されています。決して一人で悩まずに、早期に相談、適切な助言を受けることをお勧めします。

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