離婚後、相手が養育費払わない場合に祖父母への要求は可能?

「小学生の子どもを引き取って離婚。しかし、元夫が約束した養育費を払わず調停にも欠席。生活費に困窮しているため、元夫の両親である祖父母に要求することはできる?」

離婚後の子どもの生活を支えるのは、「養育費」です。当然、毎月家計に入ってくることを前提にやりくりをしている人も多いでしょう。それにもかかわらず、相手が払ってくれない場合、家計がひっ迫し、生活自体が立ち行かなくなる可能性も…。

ここでは、相手が養育費を払わない場合、相手の両親である祖父母に要求ができるのか、養育費の基礎知識や、今後、養育費を確実に支払ってもらうための方策も併せてご紹介します。



■「養育費」は誰が払うもの?

「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」(民法887条)。

このように、民法は両親に子どもを扶養する義務を明文で定めています。また、平成24年より施行された改正後の民法776条でも、「子の監護に要する費用の分担」と「養育費」が明示されています。

つまり、子どもの生活にかかるお金(生活費)である「養育費」は親が払うべきなのです。

離婚しても親子関係は変わりません。夫婦は互いに他人となりますが、親子関係に影響はなく、扶養義務はそのまま変わらずに負うことになります。親権や監護権を得ていなくても、親である以上、子どもの生活費である「養育費」を支払わねばならないのです。

養育費に含まれるものとしては、一般的に衣食住に必要な費用、教育費や医療費とされ、自分と同じ水準の生活を保障するという「生活保持義務」を負っていると解されています。



■祖父母は「養育費」を支払う義務がある?

「家庭裁判所は、特別の事情があるときは…三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる」(民法887条2項)

つまり、孫からみて二親等である祖父母には、孫に対する扶養義務があります。

ただ、親の扶養義務と全く同じではなく、扶養の程度が違うと解されています。

夫婦間や親子間では、自分と同じ水準の生活を保障するという「生活保持義務」ですが、それ以外の親族間での扶養義務は、自分の生活を犠牲にしない限度で、被扶養者の最低限の生活扶助を行う「生活扶助義務」と解されています。

ですから、結論としては、祖父母が裕福で、自分の生活にも困らず余裕がある場合などには、請求が認められることになるでしょう。



■祖父母に要求する手続きとは?

それでは、どのようにして祖父母に要求をすればいいのでしょうか。

基本的には、養育費を決定した流れと同じく、話し合い、調停という段階を踏みます。



・話し合いで要求する

まず相手に対して「扶養料」についての話し合いがしたいとの要望を伝えます。

離婚原因にもよりますが、祖父母は直系血族に当たるため、孫のことであれば話し合いに応じる可能性は高いでしょう。

話し合いの際は、正直に実際の状況を話すことが重要です。養育費の支払いの約束があったこと、約束通りに支払いがされないこと、相手が調停に欠席して請求できないこと、生活費に困窮していることなど、正確に今の状況を相手に分かってもらうことです。

そして、養育費の金額を代わりに扶養料として払ってくれないか、払えるとしたらどれくらいの金額かなど、相手側の資力やその他の事情も考慮しながら話し合い進めていきます。

ここで両者が合意に至った場合は、公正証書にて書類を作成すると確実でしょう。

・家庭裁判所の「扶養請求調停」を利用する

相手が話し合いに応じてくれない、もしくは話し合いをしたものの当事者間で合意に至らない場合は、家庭裁判所の手続きを利用し、扶養料の支払いを求める調停や審判の申し立てを行うことになります。この場合、親は、扶養権利者(子ども)の法定代理人として進めていきます。

調停の流れとしては、調停委員が実際の扶養義務者(本件では祖父母)の経済状況や生活状況、その他考慮しなければならない一切の事情や希望などを、当事者双方から聴取し、これらを全て把握してから、双方に助言や解決案を提示します。

最終的に両者の合意を得られれば、その内容で調停成立となります。

他方、合意に至らない場合は、自動的に審判が開始され、裁判官が決することになります。



■確実に養育費を支払ってもらうためには?

今後、確実に養育費を支払ってもらうためにはどうすればいいでしょうか。

・「養育費」の取り決めを強制執行認諾文言付公正証書にしておく

公正証書の中でも、強制執行認諾文言付公正証書にしておけば、養育費の支払いがなされない場合は、裁判をせずとも、この公正証書により、すぐに強制執行が可能となります。

つまり、相手の給料を差し押さえて、強制的に養育費を払ってもらうことができるのです。

・「養育費」の債務につき、祖父母を連帯保証人にする

祖父母の扶養義務といっても、「生活扶助義務」であり、自分の生活を犠牲にしない限度であるため、祖父母に断られる可能性があります。

そのため、相手が負っている「養育費」の債務につき、連帯保証人として祖父母に保証をしてもらうのです。いざ相手が支払わない場合は、相手の養育費の債務を保証しているという名目で請求することができます。



子どもの生活に直結する「養育費」を確実に支払ってもらうためには、予め将来を予測して何重にもセイフティネットとしての対策をすることが賢明です。

そのためにも、法律分野のスペシャリストである弁護士などへの相談も、確かな選択肢の一つといえます。

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