離婚後に親権の変更は可能?どのような場合ならできる? 

「自分の方が親権者に適している」、「親権者が死亡するなどして親権を行使する人がいなくなってしまった」など、離婚後に親権者の変更を望むケースがあります。

離婚するには親権者を決める必要があります。しかし、その後の様々な事情で状況が一変することもあるでしょう。このような場合に、現実的に離婚後に親権者を変更することは可能なのでしょうか。

ここでは、離婚後の親権者の変更について、可能とされる場合や親権者変更の手続きの流れなどを、まとめて解説します。




■離婚時に決めた「親権者」とは?

子どもがいる場合、離婚するためには必ず親権者を決めておかねばなりません(民法819条1項)。離婚時には、当事者の話し合いだけで親権者を決めることができます。

ここでいう「親権者」とは、2つの権利を有する人のことです。

子どもの財産を管理する「財産管理権」と、子どもの身の回りの世話を行い養育する「身上監護権」の2つです。

通常は親権者がこの2つの権利・義務を行使しますが、場合によっては、身上監護権だけを切り離すことも可能です。

■離婚後の親権者を変更するには?

「子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる」(民法819条6項)。

民法には上記のような条文があり、離婚後の親権者の変更を認めています。ただし、「子の利益のため必要があるとき」としているため、簡単に全てのケースで親権者の変更を認めているわけではありません。そして、親権者の変更は双方の話し合いだけでは認められず、家庭裁判所の許可が必要となります。

(1)親権者を決定する基準

そもそも、親権者を決定する基準は「子どもの利益と福祉」に合致するかということです。

具体的には、父母双方の健康や生活態度、経済状況、教育環境、意欲と能力などを比較考慮します。一方、当事者である子どもについても、年齢や意思など、状況により反映されます。

また、離婚という出来事に加えて、環境の変化は子どもに大きなストレスを与える可能性があります。出来る限り養育環境は現状のまま維持すべきという考え方(現状維持の原則)が顕著です。そのため、実際に養育している側をそのまま親権者にするケースも多いようです。

(2)親権者の変更が認められるのはどんな場合?

上記のような基準は、親権者の変更でも重要視されます。

つまり、現状維持の原則の考え方は、離婚後の養育環境においてもあてはまるということです。わざわざ養育環境を変えるような「親権者の変更」を、あえて認めることは例外的な事情が必要といえます。

具体的には以下のような場合です。

・親権者が育児放棄、もしくは養育環境が著しく悪い

・親権者が子どもに暴力をふるっている

・親権者が病気などで長期入院した

・子どもが親権者の変更を強く望んでいる

・親権者が子どもに労働を強制している

「再婚するためだけに親権者を変更したい」などの自己都合による変更は認められません。

「子どもの利益と福祉」にとって必要な理由がある場合にのみ、親権者の変更が認められると解されています。



■親権者変更の手続きの流れ

それでは、実際に親権者の変更の手続きはどのような流れになるのでしょうか。

まず、離婚後の親権者の変更は,必ず家庭裁判所の調停・審判によらなければなりません。手続きとしては、家庭裁判所に「親権者変更調停事件」として申し立てを行います。

なお、親権者が行方不明や死亡等の場合でも、当然に親権者が変更されるわけではありません。必ず家庭裁判所の許可が必要になるので、その際は「親権者変更の審判」の申し立てを行います。

調停手続では、調停委員が中心となり、申し立てた側が親権者変更を希望する理由や一切の事情、現在の親権者の意向などが聴取されます。また、これまでの養育状況や現在の双方の経済状況や家庭環境なども確認されます。子ども側の事情も考慮しながら話し合いを進め、助言や解決案を提示し、合意となれば、調停が成立します。

一方、合意に達せず調停が不成立となれば、自動的に審判手続が開始され、裁判官が一切の事情を考慮して審判をすることになります。

親権者の変更は認められることが難しいですが、逆に現在の養育状況が子どもの利益と福祉に反している場合は、速やかに親権者の変更を申し立てるべきでしょう。場合によっては、現在の養育状況の証拠など確保する必要があるかもしれません。法律のスペシャリストであり数々の事例に詳しい弁護士に、適切なアドバイスを受けることをお勧めします。

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