14日が境界線?試用期間解雇の注意点!

「試用期間だから、すぐにでも解雇できる」と思い込んでいませんか?

じつは、試用期間中の解雇であっても無条件ではなく、法律に従う必要があります。特に、試用期間中であるということは、長年勤めていたという間柄でもなく、何より、どのような人間なのか、全く知らない状態なのです。

ですから、逆に、一切の落ち度がないよう、試用期間解雇をする場合は慎重に事を進めていかなければなりません。

そこで、今回は試用期間解雇を円満に行うための基礎知識を、14日が分岐点ということも含めて解説します。



■試用期間解雇とは?

試用期間とは、一般的に、従業員としての適格性を判断するための一定の期間を意味し、その間に解雇することを「試用期間解雇」といいます。

長期雇用を前提にしている日本では、一度採用となれば、解雇することは容易ではありません。そのため、企業側としては、ミスマッチ人材の採用防止を目的に、再度判断できる機会を設けているのです。



■試用期間だからといって無条件に解雇できない

試用期間中の解雇であっても、通常の解雇と同様に労働契約法などが適用されます。ただ、試用期間とあえて設定していることも考慮して、一般的には、試用期間中に不適格であると認めたときは解約できる旨の特約上の解約権がついている労働契約と解されています(三菱樹脂事件判例)

ですから、通常の解雇よりも、使用者に広い範囲の裁量が認められていると考えられています。



■試用期間解雇ができる場合は?

労働契約法16条には「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と定められています。

試用期間解雇にもこの条文が適用されますが、採用時には、資質、性格、能力、適格性などについて適切な判定資料が十分でないため、試用期間内での調査や観察に基づいて、採用の最終的決定を行うという目的も考慮する必要があります。

そのため、これらの事情を踏まえ、解約権留保の趣旨、目的に照らして、解雇につき客観的な合理的理由があり、それが社会通念上相当だと認められる場合にのみ、解雇が許されると解されています。

●試用期間解雇の4つの条件

具体的には、以下の4つに該当する必要があります。

ⅰ当初知ることができず、また知ることが期待できないような事実を知った場合

ⅱ事前に知れば採用しなかったと思われるような事実である

ⅲその理由が客観的に説明できる(客観的合理的理由)

ⅳその理由が社会的にみて相当と認められる(社会的相当性)

「客観的合理的理由」の具体例

・勤務成績不良

・業務命令を全く聞かない、協調性がない

・極端な能力不足

・経歴詐称など

「社会的相当性」の内容

・改善措置を取ったにもかかわらず改善がない

●抽象的な理由では不当解雇にあたる場合も

ここで注意すべきは、客観的に説明できなければいけないということです。単に、指導担当者の感覚や印象だけで「仕事に向いていない」などの抽象的な理由では、不当解雇になる可能性があります。

さらに、能力不足などの見極めについても、あまりにも期間が短い場合は、改善の機会がなかったと判断される可能性もあります。見極めのタイミングにも注意が必要です。

■試用期間解雇の手続きで、14日が分岐点

通常の解雇では、解雇事由が明示され、客観的合理的理由があっても、少なくとも解雇の日の30日前に予告をする必要があります(労働基準法20条)。

なお、解雇予告手当(1日につき平均賃金1日分)を支払えば、支払った分の日数を早めることができるとされています。

例外的に、天災地変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能な場合などは、解雇予告や解雇予告手当の支払いがなくても無効とならず、解雇が可能です。

●試用期間解雇でも、14日を超えた場合は解雇予告が必要

試用期間中の場合は、原則として解雇予告制度は適用されません(労働基準法21条4号)。 客観的合理的理由と社会的相当性があれば、解雇予告なしの解雇が可能です。

ただし、「14日を超えて引き続き使用されるに至った場合」には、解雇予告制度の適用となります。

つまり、試用期間であっても14日を超えた場合は、通常の解雇と同様に、解雇予告手当を支払わない限り、30日前に予告する必要があります。

試用期間解雇については、14日を超えるかどうかで、解雇予告制度の適用の有無が変わってきます。

少しでも不当解雇の恐れがあるような場合は、早期に弁護士などの専門家に相談し、スムーズな解雇、穏便に最終結論が導き出せるよう、十分な準備をされることをおすすめします。

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