ワンオペ育児を理由に離婚は成立する?

「ワンオペ育児」の「ワンオペ」とは、「ワンオペレーション」を語源としています。もともと牛丼店などで店内の業務を従業員一人だけで行うことを意味していましたが、これを育児にも当てはめたのが「ワンオペ育児」です。両親が揃っていながら、子どもの育児を一人だけで行うこと指します。

さて、今回は、「ワンオペ育児」を理由に離婚ができるのかについてご説明します。

■相手の合意があればどんな理由でも離婚できる

結婚するときも、離婚するときも、当事者双方の意思が合致すれば、具体的な理由は関係ありません。つまり、「ワンオペ育児で疲れた…一人で子育てしているのと同じ!離婚したい」との離婚の申し出に対して、相手が合意すれば、離婚することは可能です。このように、当事者同士の協議で離婚が成立する場合を「協議離婚」といいます。

なお、当事者の協議で意見がまとまらない場合、裁判所の調停を利用して、離婚成立を試みることになるでしょう。

この調停でも調停委員が示す提案に対して合意ができない場合は、裁判にて裁判所が離婚の可否につき判断することになります。

■裁判での離婚は「離婚原因」が必要

ただ、裁判で離婚が成立する場合は限られています。協議離婚のように、自由に離婚が成立するわけではありません。

具体的には、以下の5つの原因が民法で定められています。

・配偶者の不貞行為

・配偶者に悪意で遺棄されたこと

・配偶者の生死が3年以上明らかでないこと

・配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないこと

・その他婚姻を継続し難い重大な事由があること

この上記5つの離婚原因のうち1つに該当する必要があるのです。

●「悪意の遺棄」とは?

ワンオペ育児の場合は、「悪意の遺棄」「その他婚姻を継続し難い重大な事由があること」に該当する可能性があります。

まず、「悪意の遺棄」とは、簡単にいえば、夫婦の義務を果たさないことだといえます。結婚をすれば、法律上、夫婦として「同居義務」「協力義務」「扶助義務」を果たさなければなりません。つまり、夫婦の一方が故意に育児を放棄している場合は、「夫婦の協力義務違反」とみなされる可能性があります。

ただ、正当な理由がある場合は、協力義務違反とはいえません。例えば、病気で育児ができない、単身赴任となって別居したため育児ができない、仕事が激務で物理的に育児ができないなどです。

また、故意に育児放棄をしていても、倫理的に非難を受けても当然というレベルでなければ、「悪意の遺棄」として認められることは難しいでしょう。

●「その他婚姻を継続し難い重大な事由」とは?

次に、「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性があります。

「婚姻を継続し難い重大な事由」とは、具体的には「夫婦関係が修復できないほどに破綻している」などの場合を指します。

ワンオペ育児といっても、その状況はさまざまです。例えば、妻が専業主婦で育児できるにもかかわらずあえて行わない「ネグレクト」のようなケースでは、子どもに食物を与えず面倒を見ないなどの状況であれば、場合によっては「児童虐待」に当たる可能性があります。

このような場合は、「婚姻を継続し難い重大な事由」として離婚が成立するでしょう。

しかし、ただ育児に協力的でないレベルであれば、離婚成立は難しいといえます。

「婚姻を継続し難い重大な事由」についての判断は夫婦の個別事情を総合的に考慮して行われます。夫婦の状況(共働きか)、妊娠、出産、育児の状況、協力の要請の有無など、さまざまな事情が考慮されます。裁判官によっては判断が異なるため、弁護士などの専門家に早期に相談をし、早めの対策を練ることをお勧めします。

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