交通事故でPTSD発症!慰謝料はどうなる?

交通事故に遭った場合、ケガに対して入院や通院などの治療費が支払われるのは、何となく予測できます。しかし、精神的なショックを受けたなどの場合に慰謝料が支払われるのかは、分からない方も多いのではないのでしょうか。

特に、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の場合、発症時期は一定ではありません。交通事故直後の場合もあれば、半年後の発症もありうるのです。

そこで今回は、交通事故の被害者がケガ以外にPTSDを発症していた場合に慰謝料はどうなるのか、PTSDの慰謝料についてご説明します。

■PTSDとは?

PTSD(Post Traumatic Stress Disorder 心的外傷後ストレス障害)とは、実際に体験した強烈なショック状態、また強い精神的ストレスにより、心がダメージを受けて時間が経過してからも強い恐怖を感じてしまう状態のことを意味します。

その引き金となるショック体験とは、自然災害や事故、犯罪被害などさまざまです。

症状としては、以下のようなものが挙げられます。

・突然過去のショック体験がよみがえる(フラッシュバック)

・常に神経が張り詰める

・記憶を呼び起こす場面を避ける

・感覚が麻痺してこれまでのような感情が持てなくなる

・めまいや頭痛、睡眠障害など

■PTSDに対する慰謝料として、まずは治療するための慰謝料を請求しよう

PTSDに対して何よりも重要なのは、治療を行って完治させることです。PTSDの治療法としては、心理的精神的アプローチでの治療や薬物治療の2種類があります。基本的には半年~1年、重篤な場合には2年~3年の治療期間が必要となりますが、十分完治も可能です。

治療のためには、治療費(入院や通院など)や休業損害などの慰謝料請求をすることが考えられます。症状が出ればすぐに病院で受診し、PTSDの診断書を作成してもらいましょう。

 

 

■後遺障害の慰謝料はPTSDかどうかが問題ではない

次にPTSDの慰謝料の内容として考えられるのが、PTSDが完治できなかった場合の損害です。

これ以上治療を続けても症状が変わらずに残る場合(症状固定)に、後遺症により通常の生活をすることができない、働けないなどの障害があれば、後遺障害の認定対象となります。認定されれば、賠償金の請求が可能となります。

●非器質性精神障害の症状に該当するかが重要

PTSDの診断書があっても、それだけでは後遺障害等級の認定はされません。PTSDは「非器質性精神障害」の一種とされています。「非器質性精神障害」とは、脳組織に物理的な損傷がない場合の精神障害のことを意味します。別途、被害者に表れている具体的な症状を、後遺障害等級の詳細な基準に照らして判断されなければなりません。

具体的には、「非器質性精神障害」の等級認定と慰謝料の基準額は以下のようになります。

・第9級…690万円

「通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため、就労可能な職種が相当な程度に制限されるもの」

・第12級…290万円

「通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため、多少の障害を残すもの」

・第14級…110万円

「通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため、軽微な障害を残すもの」

■交通事故との因果関係や被害者自身の素質が無関係であることがポイント

PTSDによる慰謝料が認められる最大のポイントは、交通事故によりPTSDとなったという因果関係の立証です。発症時期が交通事故直後でない場合もあるため、交通事故の恐ろしい体験によりPTSDとなったこと、他には発症原因がないことを証明する必要があります。

また、PTSDは完治することが多いとされているため、治らない原因は被害者本人の素質が理由として、慰謝料の金額が減額される場合もあるため、注意が必要です。

交通事故の場合の慰謝料、特に精神的損害での慰謝料の判定は難しいものです。法律の専門的知識だけではなく、これまでの判例に精通している必要があるでしょう。

交通事故の経緯だけではなく、実際の症状なども含めて、交通事故の案件に詳しい弁護士に、まずは相談することをお勧めします。

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