予約後、無断キャンセルした客に損害賠償請求できる?

「え?○○君と○○さん来ないの!? 急に言われても困るなあ……。それなら別の日にしようか。じゃあお店にキャンセルの連絡しておくね!」飲み会シーズンによくある光景です。現代はインターネット社会。予約専門サイトやお店のHPなど、電話だけでなく、インターネットでも簡単に予約が取れる便利な時代になりました。その反面、お客さんも安易にキャンセルをして、お店とトラブルになるケースも増えているようです。店側は、こうしたお客さんに、損害賠償請求できるのでしょうか?

カギは契約が成立していたかどうか

そもそも損害賠償請求できるのか、損害はいくらになるのか、が論点になります。

損害賠償請求できるかどうかは、簡単に言えばお客さんとお店との間で、契約が成立していたかによります。

お店の予約というのは通常、お客さんからお店に対して、「○月○日に4人分の席を確保してください」といった申込みをして、お店がそれに応じるという形ですよね。お店は、日時、人数で席を確保する義務を負いますし、お客さんは、その日にその人数でお店に行かなければなりません。口頭でも立派な契約の成立です。したがって、これを果たさなかった場合、お客さんは「債務不履行」として損害賠償責任を負うことになります。

どのくらい額を請求できる?

気になるのは、いくら賠償するのか、ということですが、これはなかなか難しい問題です。損害賠償額について、お店とお客さんで合意していればいいのですが、通常、そのようなことはないでしょう。特に損害賠償額について合意していない場合、日本では、その賠償額は、実際に生じた損害額の範囲で認められることになります。

予約をキャンセルした場合に生じる損害とは何でしょうか。例えば、その席を確保していたことで、別のお客さんを断っているわけですから、得られたであろう利益があります。席だけでなく、コースなど食事も予約していた場合は、その分が無駄になってしまうかもしれません。大きいパーティーなどで、その日のために従業員を手配していれば、その費用も損害になり得るでしょう。規模が大きくなれば、損害も大きくなるということです。

飲食店の実情は?

では、実際のところ、お店が予約をキャンセルしたお客さんに損害賠償請求しているか、というと、そんなことはありませんよね。ほとんど聞いたこともないはずです。法律上は、認められるとしても、実際に請求するのはためらわれます。予約のキャンセルなんて日常茶飯事ですし、いちいち対応していたら、時間やら費用やら、そのコストの方が高くつくからです。

また、ネット社会ですから、クチコミサイトに悪く書かれるかもしれないという風評の点もあります。キャンセルがあったとしても、代わりにお客さんが入ることもありますし、そこで食材を使うこともできるでしょう。

まとめ

こうした事情があって、実際に損害賠償請求することはまれです。とはいえ、損害が大きくなれば、お店も見て見ぬふりはできません。急なキャンセルはできるだけしないように、やむを得ない時でも、分かった段階ですぐに連絡を入れるようにしましょう。お店もお客さんも、マナーを守って楽しいお食事を!

文:石崎冬貴(弁護士)

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