遺産相続の相談をするのは弁護士?税理士?

「遺産相続について相談したい」と思ったとき、あなたは誰に相談しようと思いますか? 多くの人が、弁護士や税理士といった専門家を思い浮かべるはずです。しかし、遺産相続に関することは弁護士と税理士のどちらに相談するのが正しいのでしょう?

専門家ごとに役割は異なっている

どちらに相談すべきか悩ましいところですが、その前にまず、弁護士と税理士の違いを知っておく必要があります。弁護士というとドラマで見るように法廷で証人尋問をしたり、被疑者(容疑者)に会って話を聞きに行ったりするイメージをもたれます。一方、会社員や公務員は通常、源泉徴収として所得税から税金を引かれた形で給与を受け取っており、税理士に相談するような機会は多くないため、イメージが湧かないかもしれません。

弁護士と税理士の違いは、専門分野の違いにあります。弁護士は、弁護士法第3条第1.項で「当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によって、訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うことを職務とする」とされており、職業として依頼者に代わって裁判を取り扱ったり、一般の法律事務として契約書などを作ったりできます。(引用:弁護士法)

税理士は、税理士法第2条第1項で「税務代理や税務書類の作成、税務相談及び付随業務」が職務内容とされており、職業として税金に関する事務一般を取り扱えることとなっています。(引用:税理士法)

このように弁護士は「法律の専門家」、税理士は「税金の専門家」と考えて頂ければわかりやすいかもしれません。

税理士と弁護士、どちらに頼むべき?

では、遺産相続に関する相談は税理士と弁護士のどちらに依頼すればよいのでしょうか? 税金の問題だとわかっている場合は税理士、揉め事など法律の問題だとわかっている場合には弁護士になります。どちらの問題かわからない場合には、弁護士に相談するのがベターです。

具体的には、現金や預貯金、株式、不動産など全ての財産、いわゆる総資産が3,000万円超になる遺産がある場合には、相続税又は贈与税の問題が発生する可能性があります。税金の問題として、一度税理士に相談するとよいでしょう。

一方、遺産相続に関する法律の問題とは、遺産を巡って家族内で争いが起こる、もしくは起こる可能性があるケースです。このような心配があるのなら、弁護士に相談するのが適切です。また、亡くなる前に作成する遺言書の相談も弁護士の業務です。

遺産相続に関して漠然とした不安を抱えている場合であれば、ひとまずは弁護士に相談してみましょう。その理由に、弁護士は税理士の業務を行ってよいこと、相続税や贈与税について最低限の知識を持ち合わせていること、が挙げられます。

具体的にどこに相談に行ったらいいの?

遺産相続に関しては、弁護士や税理士の他にも司法書士や行政書士も相談を受け付けています。しかし、遺産相続の問題は法律や税金を含む、多くの分野にまたがる問題でもあります。そのため、1つの専門家だけで対応できないことも。遺産相続の問題を解決するためには法律、税金の問題を理解している専門家や、他の専門家と連携を取っている専門家を探して相談することがベストです。

最近では遺産相続に関して連携を取っている専門家も増えていますのでインターネットなどで探すことも容易です。

全く心当たりがなければ、地域の弁護士会や税理士会で窓口を設けているところも多いので、そちらに問い合わせてみることも有効です。

文:荒木俊和(弁護士)

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