交通事故の示談金はいくらが相場?

交通事故の当事者同士が話し合い、賠償責任を負うべきすべての費用を決める「示談」。示談金には、だいたいこのくらい、という相場はあるのでしょうか?

交通事故は誰の身の上にも起こり得るもの

自動車交通の発達した現代において、交通事故は必然的に誰の身の上にも起こり得るものです。

たとえ運転免許を持っていない、自動車を持っていないから普段運転をしないという人であっても、ある日歩道を歩いていて突然何の前触れもなく信号無視の車にひかれることもあり得るのです。

交通事故においては、加害者と被害者は大抵の場合、顔も合わせたことのなかった赤の他人同士です。そのため、行きつくところは、お金を払って和解する、いわゆる「示談」という形での決着がほとんどです。この示談に際して支払われるお金を「示談金」と呼びます。

示談金はどうやって算出する?

交通事故の事後処理に携わる、弁護士や損害保険の担当者は示談金の算出にあたって、『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準』(通称、赤い本)、『交通事故損賠額算定基準』(通称、青本)と呼ばれるアンチョコを使います。なぜか前者は「赤い本」と「い」が入りますが、後者には「い」が入りません。赤い本、青本の名前の由来はそのものズバリで、本の色がそれぞれ赤青だからです。

これらの本には、通院1回につきの慰謝料、後遺症の種類別の慰謝料、仕事を休んだ場合の休業損害を算出方法など、非常に細かいことまで掲載されています。つまり、交通事故においては、実務上これらのアンチョコに基づいて損害を算出しているのです。

示談金の相場とは

交通事故において、どのような損害が発生したのかはケースバイケースです。自動車同士の衝突事故をとっても、どのような車に乗っていたのか、またどの個所がどのように壊れたのかによって異なります。人身事故においても、事故の後遺症、また働けなくなったとした場合はそれまでの月給など、損害を算定する上で必要になる要素は事故ごとに異なります。結局のところ交通事故において「示談金の相場」を提示するのは困難だといえるでしょう。

ただし「過失割合」については、事故の状態ごとに類型化されています。そもそも、交通事故というのはよほどのことがない限り、どちらか一方だけが悪いということはありません。ほとんどの場合、どちらにも事故の原因になった過失があるのです。そこで、お互いの損害を公平に分担するため、お互いの過失を合計10として、7:3や、6:4に過失を割り振り、それぞれが事故で被った損害の金額に、相手方の過失割合をかけた金額を損害賠償請求の限度額としよう、という考えが出てきます。

例えば、AとBが交通事故を起こし、Aは200万円、Bは300万円の損害を被ったと仮定します。その過失割合はAが7、Bが3である場合、以下のようになります。

  • AがBに請求できる金額は、200万円×10分の3=60万円
  • BがAに請求できる金額は、300万円×10分の7=210万円

このように、交通事故は本来お互いが悪いケースが多いものです。双方がそれぞれ相手に、60万円、210万円を損害賠償として支払うという解決をすることもあります。また、示談でまとめるに際に、お互いの損害額を相殺することもあります。上の例の場合は、Bのほうが150万円損害が多くなるので、AがBに150万円を支払って示談になるという解決もあります。

この例からもわかる通り、過失割合が変わってくると、事故の示談金をどちらが、いくら支払うかも大きく変わってきてしまいます。それ故に、交通事故においてはこの過失割合がとても重要な指標になっています。

金額の交渉は誰がするもの?

交通事故にあったからと言って、最初から弁護士を立てて交渉するわけではありません。まずは各自が加入している保険会社の担当者が示談交渉をしてくれます。ここで重要なのは、示談交渉をしてくれるのは任意保険の保険会社に限られるということです。自賠責保険が保険金を出してくれるのは、人身事故で相手に怪我を負わせたケースに限られるうえに、たとえ人身事故であっても、示談交渉はしてくれません。

まとめ

交通事故にあってしまった場合、示談金がいくらになるかはケースバイケースであり、複雑な計算を要します。また、示談交渉にあたっては過失割合や損害項目など、経験と知識が必要になります。交通事故にあってしまった場合の面倒な手続きを回避する意味でも、任意保険には加入しておいた方がいいでしょう。どうしても自分の手には負えないという場合は、弁護士に相談をすることも考えてみましょう。

文:坂本尚志(弁護士)

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