養育費を払いたくない!そもそも養育費は義務なの?

法律事務所には日々さまざまな相談が寄せられますが、なかでも離婚に関する相談は相当数あります。そして、相談内容を伺っていると、相談者の中には、離婚に際して支払われる金額のうち、慰謝料と養育費の区別がついていない方が多いことに気づかされます。

そもそも養育費とはどういうお金?

養育費とは、平たく言えば離婚後の子育てのために支払うお金のことです。一般には親権・監護権をとれなかった親が払うことになります。この養育費は毎月分割払いで、支払いは子供が20歳になるまで支払うのが原則ですが、最近では4年制大学を卒業するまで支払うと定めることが多いようです。

「離婚はしたいけれど、養育費を払いたくない」という人は多いのですが、本来これは別れる奥さんのために払うお金ではなく、自分の子供のために払うお金だということを肝に銘じてください。たとえ離婚の理由が奥さんの浮気などであっても、裁判や調停で離婚する場合、養育費を支払わなければいけないケースは多いのです。

養育費の金額の決め方

では、養育費はだれがどうやって決めるのでしょうか?

まず、離婚について夫婦の話し合いだけで決められるのなら、養育費を払うか否か、金額についても、話し合いで決めます。

一方、離婚が当人同士の話し合いでは決着がつかず、裁判所に持ち込まれた場合、裁判官や調停員を交えて養育費を決めて行くことになります。その際に参考にされるのが算定表と呼ばれるツールです。これは、東京家庭裁判所のホームページ上に公開されているので、だれでも確認することができます。(参照:裁判所|養育費算定表)

この表は子供の人数、年齢、夫、妻のそれぞれの年収から、どれくらいの養育費を支払うのが妥当なのか、一目瞭然になるという非常に便利なツールです。この表に記載されている金額が、実務上「養育費の相場」と言っても過言ではなく、裁判所もよほどのことがない限りこの算定表に基づいて養育費を算出しています。

支払い途中で金額は減額できるもの?

いざ離婚して、養育費の支払いが始まったとしても、この不景気のご時世です。養育費の支払義務者の給料が下がったり、仕事を失ったりすることも考えられます。その場合、養育費は減額できるのでしょうか?

まず、養育費を話し合いで決めた場合、これは相手と相談して金額を減らす交渉をすることになります。

相手が同意してくれれば万々歳。仮に同意してくれなくても、公正証書などにしていない限りは強制執行をかけられるわけではないので、払える金額だけ一方的に振り込むという方法もありでしょう。ただし、道徳的な問題は残ってしまいますね。

次に、養育費を家裁の調停や審判で決めた場合です。これも相手が同意してくれれば、事実上減額することはできます。ただし、本来決められた金額で支払っていない状態は続いています。そのために、相手が気難しい人であったり、関係が険悪になったりした際に、嫌がらせ的に強制執行をかけられるリスクが残ります。普通の人なら、数万円程度のお金ではしないものなのですが、実際に元奥さんが1万円の支払いが滞っただけで元旦那さんの給料を差押えてきたケースがあるのです。

相手が同意してくれない場合や、強制執行をかけられるリスクを避けたいのであれば、養育費の減額についても家庭裁判所で養育費変更の調停や審判を申し立てる必要があります。

まとめ

このように、離婚にあたっては色々と面倒なやり取りが必要になり、将来の金銭的な負担などについても目を向ける必要があります。離婚は裁判所などを介さず、夫婦の話し合いで円満解決できるのがベストです。しかし、小さいお子さんがいて、養育費を払う必要がある場合は、弁護士に相談することも視野に入れておいてもよいでしょう。

文:坂本尚志(弁護士)

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