妻の仕事が忙しいためすれ違いの生活…離婚する方法はある?

「仕事とオレ、どっちが大事なんだよ!」

女性が結婚後も働くことが珍しくなくなった現代社会。夫の収入だけで生計がたてられても生きがいを求めて働き続ける女性は多くいます。都内で暮らすとある夫婦もそのパターン。妻は出張も多く、帰宅も終電……。結婚したというのに、夫はほとんど妻と一緒にいたことがないのです。もちろん、妻の手料理も食べたことがありません。妻が忙しすぎるという理由では、離婚することはできるのでしょうか?

夫婦は同居し協力し合わなければならない?!

そもそも夫婦とは何でしょう? 離婚となると気になるのは法律の解釈です。まずはそこを確認してみましょう。

法律では、夫婦の義務がいくつか定義されていますが、今回のケースで関係のありそうなところはここでしょう。「夫婦は同居し、互いに協力し合わなければならない」という同居、協力及び扶助の義務の存在(民法752条)です。こんなことが法律に書かれているのか! と驚いた方もいるのではないでしょうか? これは夫婦、そして家族として円満に暮らしていくための倫理的な規定として設けられています。そして、これを守らないことを「悪意の遺棄」(民法770条1項二号)といいます。「悪意の遺棄」とは、相手が困ると分かったうえで、夫婦としての「義務」を果たさず身勝手な行動をとり続けることです。

すれ違い生活が理由で離婚が認められた事例もある

今回のケースは、同じ家に住んでいるがすれ違いの生活になっているという状況です。妻は仕事で殆ど帰らないとはいえ、別の部屋を借りて出勤しているわけではありません。つまり、家に帰宅している以上、同居義務に反していないようにみえます。ちなみに、一般的には、仕事上の出張や単身赴任は同居義務に違反しないとされているのです。
しかし、夫からすればほとんど一緒にいたことがないわけですから、もはや同居しているとは言えないのでは? と疑問に思うことでしょう。

実際、過去の裁判の判例では「仕事のためとはいえ、あまりに多い出張・外泊等、妻子を顧みない夫の行動が、妻に対する“悪意の遺棄”に当たるとするにはやや足りないが妻から夫に対する離婚請求が認められた」という事例があります。仕事が理由なので悪因の遺棄にはならなくても、すれ違い生活は離婚理由としては十分に認められるということですね。

調停離婚になった場合は、離婚理由を明確に

このケースであっても、妻が納得をしてくれれば協議離婚はスムーズに成立するでしょう。しかしながら、妻が「確かに仕事ばかりしていて、夫をほったらかしにしているけど、離婚はしたくない」と思っている場合は、調停離婚になる可能性があります。調停離婚となった場合は、「すれ違いで寂しい」「一緒にいてくれない」という感情を、もっと深く考えていくことが必要になります。前述の同居義務に対する悪意の遺棄が認められなかった場合、「その他婚姻を継続し難い重大な事由がある」(民法770条1項五号)という法律に落としこむことになります。これは、婚姻生活が深刻に破たんし、回復の見込みがない状態をいいます。例をあげると、性格の不一致や、暴力、浪費などです。ただし、実際には、以下のような項目を考慮して、離婚すべきかを決めるというのが実情です。

  • 婚姻継続意思の有無
  • 婚姻関係を修復する努力がなされていないこと等、夫婦の婚姻中の態様
  • 子どもの有無や状況
  • 夫婦双方の年齢や資産・収入
  • (別居しているのであれば)別居の原因、別居期間

特に、別居は5年以上であれば離婚が認められやすいといわれています。この方法は長期化することも考えられますし、負担もかかりますが「どうしても離婚したい」ときには、まず別居をしてみるというのも検討する価値はあります。

まとめ

縁があって一緒になった夫婦が、仕事という物理的な理由が原因で心が離れて離婚していくというのは勿体ないことですよね。女性の社会進出が叫ばれていても、「やはり妻には家にいてほしい」と思う男性もまだ多いと思います。「仕事と私どっちが大事なの?」というセリフ、昔は女性が男性に言うイメージでしたが、男性から女性というのもありそうです。もちろん修復できるのがベストではありますが、生活のすれ違いが原因で離婚というケース、今後増えていくのかもしれませんね。

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