娘がDVを受けていた……。婿の両親へ慰謝料請求をすることはできる?

数年前に嫁がせた娘が、最近になって婿からDVを受けていたことがわかりました。もちろん離婚させるつもりですが、婿はもちろん、こんなふうに育てた両親へも慰謝料請求することはできるのでしょうか。

DVの慰謝料は一般的にいくら?

慰謝料を請求することになると、関心となるのがその相場です。しかし、慰謝料の額は、どのような行為をうけ、どのような結果がもたらされたかによって異なります。そのため、おおよその目安はあっても相場はありません。特に、DVとなるとその形態は千差万別ですので、一概には言えないのです。

また、DVも近年周知されている概念ですが、DVに着目した相場というのもまとめ辛いところもあります。

例えば、慰謝料の目安となる本として、「慰謝料算定の実務(千葉県弁護士会)」がありますが、この本でもDVという項目では、まとめられていません。

そこで、本件の場合は、「離婚させるつもり」ということですから、離婚した場合の慰謝料の目安を説明します。離婚の慰謝料は、おおよそ100万円くらいです。不貞行為で、離婚した場合の慰謝料相場は、100万円から300万円とよく言われますが、離婚の慰謝料で100万円を超える事案はそこまで多くありません。

もちろん、DVの程度が酷かったのであれば、100万円を超える慰謝料になることもありますが、慰謝料の目安は、一般の人の想定よりは、低くなるのが現状です。

娘に代わり、相手とその親へ請求はできる?

さて、それでは親御さんが娘さんの代わりとなって、DVをした相手とその親に慰謝料を請求できるでしょうか。

まず、親御さんが代わりになるという点ですが、これはおすすめできません。紛争関係の代理をできるのは、原則として弁護士となるからです。もちろん、報酬を得る目的はないので弁護士法には反しないと考えることはできますが、親御さんのお気持ちが大きいあまり、感情的になりすぎては解決が困難になります。やはり、法律と紛争の専門家である弁護士が代わりに行うのがベストだといえるでしょう。

次に、請求の相手方ですが、DVをした相手に対しては、その証拠をちゃんと確保できていれば、請求が認められるでしょう。問題は、相手方の親に対する請求まで認められるか否かです。結論から言うと、相手方の親も一緒にDVをしていたという場合でなければ、請求はできません。DVをするような子供に育てたという理由だけでは、その親に対して、慰謝料を請求することはできないでしょう。

相手方ももう立派な大人であり、親とも別居している以上、DVをしたことの責任は、相手方自身が負うことになり、その親が負担することにはならないからです。

まとめ

DVを受けて離婚した場合の慰謝料は、100万円程度を一応の目安と考えるべきです。また、DVをした相手への慰謝料請求はともかく、その親に対する請求は極めて難しいということです。

文:竹内亮平(弁護士)

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