親がつけたキラキラネームを改名したいんだけど……

名前は親からの最初のプレゼントともいいますが、名乗るのも気が引けるキラキラネームやDQNネームといわれる珍名。両親がこうした名前をつけてしまい、成長した本人が改名を望んだら、どうしたらよいのでしょうか。

こんなキラキラネームだったら嫌だ

どのような名前であれば、キラキラネームやDQNネームに該当するのかは、人の主観によるので判断が難しいです。最近では「黄熊」と書いて「ぷう」と読ませたり、「今鹿」と書いて「なうしか」と読ませたりする珍名も……。

珍奇な名前で世間を騒がせたものとしては、かつて「悪魔ちゃん」事件があります。

これは、平成5年に、子の名前を「悪魔」とする出生届が市役所に提出されたというものです。戸籍法50条1項では、子の名前には常用平易な文字を用いなければならないこととされています。この常用平易な文字の範囲は、具体的には戸籍法施行規則60条で「常用漢字表に掲載されている漢字」「人名用漢字」「カタカナ」「ひらがな」と定められています。

「悪」も「魔」も、常用漢字表に掲載されていることから、戸籍法上は問題ないような気もしますが、この出生届を受けた市役所では、管轄の法務局に確認し、「悪魔」という名前には問題があるということで、その出生届の受理を保留しました。出生届に限らず、戸籍の届出には市区町村から管轄の法務局に伺いを立てる「受理伺い」や「処理伺い」という手続があるのです。

両親が出生届受理保留を不服としたため、この問題は家庭裁判所で争われることとなりました。家庭裁判所は、親権(命名権)の濫用に当たるような場合や、社会通念上で明らかに名として不適当と見られるとき、一般の常識から著しく逸脱しているとき、名のもつ本来の機能を著しく損なうような場合には、戸籍事務管掌者(当該市町村長)においてその審査権を発動し、名前の受理を拒否することが許される、と判断しました。

そして、問題の「悪魔」という名前は、いじめの対象となり、ひいては社会的不適応を引き起こす可能性もあることから、命名権の濫用だと判断されました。

名前を改名するための手続きとは

戸籍法107条の2の規定に基づいて、正当な事由により名を変更しようとする場合には、家庭裁判所の許可を得て、その旨を市区町村に届け出る必要があります。

家庭裁判所の許可を得るための申立ては、名を変更しようとする本人が行いますが、その者が15歳未満の場合は、法定代理人が申し立てます。原則的に、未成年者が単独で法律行為を行うことはできませんが、名の変更の申立てについては、15歳以上であれば可能です。

提出書類は、申立書、本人の戸籍謄本のほか、名の変更の申立ての理由を証明する資料があればそれも提出します。手続き的には、キラキラネームやDQNネームを理由に申立てをする場合には、申立書と添付書類による書面審査が多いといえます。家庭裁判所の許可を得られた場合には、その許可の審判書の謄本を添付して、市区町村長に名の変更届を提出する必要があります。家庭裁判所の許可を得ても、この名の変更届を提出しない限り、名の変更の効力は生じません。

「キラキラネームが嫌だ」を理由に改名はできる?

キラキラネームやDQNネームを理由に、名前を変更することが家庭裁判所に許可されるのでしょうか?

戸籍法107条の2では「正当な事由が」必要であるとしか規定していません。ただ、一般的な解釈では「難読又は珍奇な名で社会生活上甚だしく支障がある」ときは、正当な事由に該当する場合があるとされています。そういう意味では、キラキラネームやDQNネームが嫌だという理由で名前の変更も認められる余地がありそうです。

まとめ

過去には、女の子に「精子(せいこ)」という名前を付けた例や、男の子に「桃千代」という名前を付けた例で名前の変更が認められています。どうしても名前が嫌なのであれば、弁護士と相談するとよいでしょう。

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