離婚してから妊娠が発覚したら、産まれた子の親権はどうなるの?

離婚して数カ月後、妊娠していることがわかりました。どうしても子供を産みたいAさんですが、別れた夫とやり直すつもりはありません。この場合、産まれた子の親権はどうなるのでしょうか。

取り沙汰される「300日問題」

皆さんは、「300日問題」という言葉を知っているでしょうか。これは、民法772条(嫡出の推定)に基づく問題です。この条文によると、離婚しても、妻がそれから300日以内に出産した場合には、婚姻中に妊娠したと推定されて、夫の子と推定されると定められています。

離婚したにもかかわらず、その後300日以内に産まれた子供は、元夫の子供と推定されることから、「300日問題」と言われているのです。

平成26年7月17日に最高裁が、嫡出推定に関連する3つの判断を出したことから、この300日問題を聞いたことがある人も多いでしょう。

本件のように、離婚後数カ月して妊娠が発覚した場合には、出産は、離婚後300日以内になると思われるため、この300日問題の対象となります。したがって、産まれた子は別れた夫の子と推定されることになるのです。

300日問題の親権について

300日問題、即ち、離婚後300日以内に産まれた子供の親権は、以下のとおりになっています。

子供が生まれる前に離婚した場合、親権者は母親となりますが、産まれた後に協議して親権者を決める(変える)ことも可能です(民法819条3項)。

本件の場合、Aさんは別れた夫とやり直す気がないため、出産後に協議をすることもないでしょうから、親権者はAさんになるでしょう。したがって、離婚はしたけれども、産まれた子供はAさんの子であり、別れた夫の子でもあります。そのうえで、親権はAさんが有していることになります。

新しく付き合っている彼がいる場合

Aさんに新しく付き合っている彼がいる場合にも同様です。仮に、Aさんが妊娠している子供の父親が本当はその彼だとしても、その子供が離婚後300日以内に産まれたのであれば、元夫の子とされます。したがって、産まれた子供は元夫を父親とする出生の届出しか役所に受理されず、戸籍上もそのように扱われてしまいます。

これを避けるためには、おおまかに2つの方法があります。

1つは、離婚後に妊娠したという「懐胎時期に関する証明書」を医師に書いてもらい、それを出生の届出と一緒に役所へ提出することです。この場合は、例外的に元夫を父親としない戸籍とされることができます。

2つ目が嫡出否認の訴えを元夫にしてもらうことです。嫡出推定が及んでいる場合には、裁判所の手続はこれしかありません。しかし、出生から1年以内に手続きをしなければならない点は注意が必要です。

これらの手続については、法務省のサイトにも説明がされていますので、300日問題で悩んでいる方は詳しく読むことをおすすめします。

いずれにしても、医師の診断書を予めもらうか、元夫の協力が必要となりますので、生まれてくる子供のためにも、慎重な行動をとることが重要です。

まとめ

日本の法律上、離婚後300日以内に産まれた子供は、父親が本当は違ったとしても、元夫の子供と推定されてしまいます。それを避けるためには、医師の診断書をあらかじめもらっておくか、元夫の協力が必要となりますので、生まれてくる子供のためにも、慎重に行動するようにしましょう。

文:竹内亮平(弁護士)

参考:

  • 法務省|(元)夫を父としない戸籍の記載を求める方法

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