ちっとも働かない夫と離婚することはできる?

結婚して数年後、夫と2人でカフェをオープンしたSさん。2人の子供を育てながら、朝から晩まで妻が店を切り盛りしていました。夫はというと、一日家にいたり学生時代の仲間と野球をしたりと一向に働く気がありません。働かないことを理由に夫と離婚することはできるのでしょうか。

認められる離婚の理由

お互いが合意で離婚する場合、結婚と同じく、特に具体的な理由は必要ありません。単に性格の不一致や、愛情がなくなったという理由でも、「なんとなく」でも構わないのです。ただ、片方が離婚に応じない場合は、裁判で強制的に離婚を成立させるしかありません。この場合、裁判所が勝手に離婚を認めるわけにいきませんから、一定の理由が必要となっているのです。

離婚の理由として民法が定めているのは「不貞行為」「悪意の遺棄」「3年以上の生死不明」「回復の見込みのない強度の精神病」「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」の5つ。

では、「働かない」という理由は、このどれかに該当するのでしょうか。

働かないことを理由に離婚はできる?

結論からいえば「働かない」ということは、婚姻を継続しがたい重大な事由に該当する場合があります。

ただ、そのためには、働かないことで夫婦生活を続けていくことができないといえなければなりません。また、就職活動はしているけれども、職が見つからないというケースや、自身の体調や職場環境に問題があるケースもあります。まずは、子供の今後のことを含め家庭の事情をよく説明し、働くなり家事を手伝うなり、家庭に貢献するように強く促して、それでも改善がみられない場合、法的手続きをとるべきでしょう。

理由もなく全く働こうとしないことに加え、家計が非常に苦しいとか、ギャンブルのために借金を繰り返している、夫婦間の不信感が決定的ですでに別居しているなどの事情があれば、離婚は裁判でも認められやすいでしょう。

離婚して子供の養育費だけでもほしい

離婚して子供を引き取った場合、相手に養育費を負担してもらうことができます。ただ、養育費の負担は、現在、基本的には「養育費算定表」に則し、算定されています。これは、夫婦それぞれの収入と子供の数から、ほぼ自動的に算定するものですので、これに従った場合、働かない夫に収入がないということになれば、養育費が0

円とされてしまう可能性もあります。そうならないためには、夫が働いていたころの収入や、働けるのに働かないといった事情を、しっかりと説明すべきでしょう。

まとめ

仮に調停や裁判で決まった養育費も、相手に金銭が全くなければどうにもなりません。したがって、こちらも、いきなり法的手続をとるのではなく、子供や学費や生活費などをよく説明したうえで、親としての責任をとってもらうように働きかけることが重要ではないでしょうか。

文:石崎冬貴(弁護士)

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