夫の死後、愛人だったという人が現れて財産を要求してきた!

先日亡くなった夫の愛人を名乗る女性がやってきて、生前「死んだらマンションをあげる」と言われたと、マンションを明け渡すように強く求めてきました。こんなとき、どう対処すればいいのでしょうか?

遺産相続トラブルの原因は、口約束の贈与

そもそも、その「愛人」という人が、本当に亡夫からマンションを貰うと約束していたのかは、本件ではわかりません。何の証拠もないなら、それだけで突っぱねてしまうことも可能でしょう。

それでは、亡き夫がその愛人に「マンションをあげる」と話していたことを、多くの人が聞いていたような場合はどうでしょうか? みんなが証人になるならば、そのような事実も認定されますよね。

しかし、そのような場合であっても、法律上、贈与が認められることはありません。そもそも文書によらない贈与は、あとから取消ができることになっています。また、遺贈の場合でも、文書によらないと法的には認められません。

つまり、何の文書もない以上、愛人が「マンションを貰う約束をしていた」言ってきても、問題にする必要はないということです。

マンションの登記がどうなっているかを確認する

もっとも、マンションの登記を愛人に移転していたとなると、話は別です。この場合は、贈与がなされ、それが現実に行われたと考えることもできるからです。その場合は、贈与の取消もできなくなります。

ただ、そのような場合であっても、諦める必要はありません。そもそも登記が、本当に亡夫の意思で移転されたのかをはっきりさせる必要があります。なぜならば、印鑑証明など必要書類を勝手に使用されて、登記を移転された可能性もあるからです。

また、妻は愛人に対して損害賠償請求権を行使できます。その権利があることを利用して、相手方と交渉することも考えられます。さらに、妻や子が現実にそのマンションに住んでいるのならば、愛人が所有者になったとしても、妻や子は立ち退きを拒否することもできます。

ただ、マンションの名義が愛人に移っているような場合には、弁護士などの専門家に相談する必要がありそうです。

まとめ

亡夫が愛人に財産の贈与を約束していたという場合でも、法的にはいろいろな対応が可能です。遺産相続トラブルは、諦めずに専門家に相談することが大切です。

文:大山滋郎(弁護士)

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