自己破産したのが上司にばれて、会社をクビになりそう…

長年抱えていた借金があり、自己破産したTさん。そのことが上司の知るところとなってしまい、解雇を言い渡されてしまいました。自己破産を理由にした会社の解雇、法律的に許されるのでしょうか?

自己破産は解雇事由となるか?

自己破産しても、一般の人が目にしないような官報という新聞のようなものに掲載されるだけで、通常、会社に社員が自己破産したという連絡がいくことはありません。つまり、会社に内緒にしていれば、ばれることはないのです。ただし、会社から借金をしていた場合には、債権者である会社にも連絡が入るので、ばれてしまうこともあります。

それでは、Tさんのように会社にばれてしまった場合、会社をクビになってしまうものなのでしょうか?

いいえ、そんなことはありません!

法律上、自己破産は解雇事由に当たらないので、自己破産をしても、通常は会社をクビになったりしません。仮に、会社の規則に、自己破産を理由に解雇する旨の記載があったとしても、それは規則自体が無効になります。

ですから、自己破産を理由に会社から解雇をされたTさんは、会社に対して「不当解雇」を理由として、雇用関係の存在確認と未払賃金の請求をすることができます。

とはいえ、この訴えが不当解雇として認められたとしても、いったんクビになり、裁判で争うまでになった関係を回復させることは困難でしょう。現実的には、元の会社に戻ることは難しいかもしれません。ですので、裁判により不当解雇の主張が認められたとしても、最終的には金銭的な解決をすることになります。

それでは、いかなる職種、職業に就いている人でも、自己破産を理由に解雇されたりしないのでしょうか? これについては、残念ながら、解雇されないとは断言はできません。

破産者は、法律で規定された一定の職業には就くことできないことになっています。もしTさんが破産者に制限された資格や職業に就いているとしたら、その場合は、会社から自己破産を理由に解雇されても、解雇が不当とはいいきれなくなります。

注意が必要!破産者には就けない仕事もある

破産者が就くことができない仕事として法律で規定されている職業には、さまざまなものがあります。多くの人になじみのある職業としては、例えば弁護士、司法書士、公認会計士、税理士、行政書士など資格に基づく職業です。これらの仕事は、法律によって破産者が就けないことになっています。また、警備員や生命保険募集人、証券会社の外務員などの仕事にも、破産者は就けません。これに対し、医者や看護婦、薬剤師などの資格は、破産しても制限を受けません。

ただし、これらの仕事に就けないのは、破産手続きを開始したときから免責許可決定が確定するまでの間だけです。その期間は破産者によって差があり、おおよそ数カ月から半年ほどです。

免責許可決定が確定すれば、法律上はこれらの仕事に就くことも可能です。しかし、実際には保険会社や証券会社では、入社時に破産の経歴があるかどうかの調査が入り、破産者かどうかで採用に差が出ることもあるようです。

法律上、破産者が制限を受ける職業に就いている人は自己破産ではなく、できる限り任意整理や個人再生を検討されるとよいでしょう。

まとめ

Tさんのように自己破産を理由に会社を解雇された場合、不当解雇を理由として会社を訴えることができます。このような場合は、ひとりで悩まずに、弁護士などの専門家に相談してみましょう。もっとも、免責許可決定が確定するまで、破産者には就けない仕事もあります。破産者として制限を受ける職業に就いている人は、自己破産をする前に弁護士などの専門家に相談しましょう。

参考:裁判所│破産手続きに関するQ&A

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