どうしても子どもの親権が欲しい。親権獲得が有利になるポイントってあるの?

離婚はすんなり決まっても、親権争いで協議が難航することも少なくありません。そうなると、どうしたら親権を獲得できるのかを知りたくなるものです。また、インターネットや世間の噂には、さまざまな情報が氾濫しています。そうした情報は本当に有効なのでしょうか?

親権で一番重要なポイントとは

タイトルでは親権を「獲得」と表現していますが、一番重要なポイントは、ある人を親権者とすることが、その子どもの利益になるか否かです。「獲得」というと、親権を離婚におけるトロフィー、戦利品のように扱っているように思われますし、親権争いをする夫婦の中には、そのように考える人も少なくはありません。

しかし、親権とは、子どもを監督保護して、成長のために教育し、子どもの財産を管理する権利です。したがって、親の権利とはいうものの、子どもにとって利益とならなければ意味がなく、その点では親の義務でもあります。

法律でも、協議離婚をする際に、子の監護に必要な事項を協議するには、子の利益を最も優先して考慮しなければならないとされていますし(民法766条1項)、子の利益のために必要があるときには、親権者を変更できるとされています(民法819条6項)。

したがって、親権については、「自分がどうしたいか」というエゴイスティックな観点からではなく、「子どもが幸せになるにはどうしたらよいのか」を考えることが最も重要です。また、法律でもそのような観点で判断するとされています。

よく言われる「親権獲得が有利になるポイント」は本当に正しいのか?

調停委員を味方につける?

夫婦の協議で離婚できなかった場合、裁判の前に調停をする必要があります。その調停の際に、親権についても話し合いをすることになります。インターネットなどには調停委員を味方につけるとよい、といった情報が書かれていたりしますが、調停委員を味方につけるなどという観点は、禁物です。

親権については、その人の状況で親権を得ることが、子どもの利益になるかという観点から決められるのであって、調停員を懐柔したり、味方につけたりする必要はありません。それどころか、そうした行為が子どもの利益にそぐわないと判断されれば、逆に不利になることもあります。

家庭裁判所調査官の調査に対する準備をする?

調停にしろ、審判にしろ、裁判にしろ、親権について対立が激しい場合には、いずれの当事者を親権者とすべきかについて、家庭裁判所調査官の調査がなされることがあります。

インターネットではその調査に対して準備するといった情報を見かけますが、これも離婚で争いになったあとの急ごしらえでは意味がありません。むしろ、子どもの利益にふさわしくないと判断されるおそれがあります。

裁判所における親権者の主な3つの判断基準

裁判所における親権者の判断基準はいろいろありますが、おおよそ、以下の3つが主要なものです。

1.   監護の継続性の維持

ここで注意すべき点は、原則は現状の維持ではあるものの、子どもを連れ出して監護するようになっても、「継続性」ということにはならないということです。

2.   乳幼児期における母性優先

この点についてはよく誤解されていますが、これは優先される時期が「乳幼児期」で、かつ優先される点が「母性」であるということです。つまり、子どもの年齢によって優先される時期と優先される点が異なるということです。したがって、子どもの年齢が10歳を超えれば、子どもの意思を尊重しますし、15歳以上であれば、意見聴取が必要になります。

また、「母性」であることについては、必ずしも母親である必要はありません。仮に、父親に両親などの監護補助者がいるのであれば、母性的な役割を父親側が果たしていると評価されます。

3.   子の意志の尊重

この点については、子どもが大きくなればその意思が尊重されるようになりますが、子どもに一方がよいと言わせるのは、やめるべきです。

こうしたことは、調査官の調査でわかりますし、それがわかったら、そのような残酷なことを選択させる親は、子どもの利益に相応しくないと判断される可能性も高くなります。

このように、離婚で女性が優位というのは、妻が子どもの面倒を以前から見続けていることからの結論であって、女性であること自体が親権争いで有利になるということではありません。

以上のことからすると、親権を得るには、常日頃から、子どもの面倒を見ることが重要であることがわかります。また、父親の場合は、自分の両親などの監護補助者に面倒を見続けてもらうことも有効となります。

離婚になりそうになってから、にわか仕込みに準備らしき言動を行うのは、子どもの利益ではなくて、自分の利益のために行動していると判断されて、かえってマイナスになります。このことはよく覚えておいてください。

まとめ

インターネットのまとめサイトなどには、親権獲得に関して調停委員を味方につければよいとか、家庭裁判所調査官の調査に対して万全たる準備をしておくとよいといった情報が氾濫していますが、裁判所における親権者の判断基準はあくまでも子どもの利益という観点です。そして、親権を得たいのであれば、常日頃から、自分の側(両親も含めて)で子どもの面倒を見続けておくことが一番です。

文:竹内亮平(弁護士)

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