亡き父の代わりに遺産を相続できるはずが…

Oさんは20年前に父親を亡くし、母親の実家で成長しました。先月、父方の祖父が亡くなり、Oさんが父親の代わりに遺産相続をすることに。ところが、家を継いでいた伯父(父の兄)が、これまで自分が祖父の面倒を見てきたので、Oさんには遺産を分けられないと言い出しました。こんな一方的な言い分を飲まないといけないのでしょうか?

亡き父の代わりに相続する代襲相続とは

「代襲相続」とは、本来相続人となる人が、相続開始前に亡くなっていた場合や、相続に関して不正な利益を得ようとして相続する資格を失っていた場合などに、その子どもたちが本来の相続人の代わりに相続できる制度のことをいいます。子、孫、ひ孫などの直系卑属の場合は、相続放棄をしない限り、順に相続権が移り、代襲相続人となります。

さて、今回のように父親が20年も前に亡くなっている場合、長年祖父の面倒を見てきたからといってOさんの伯父さんが父方の祖父の遺産を独り占めできるのでしょうか? いいえ、できません。

もちろん、Oさんの伯父さんが長年祖父の面倒を見てきたことについては、「寄与分」として金銭的に評価します。ですから、遺産は、祖父の相続財産の中から寄与分を控除し、その残りの相続財産を相続人で分割することになります。つまり、長年祖父の面倒を見てきたからといって、Oさんの伯父さんが父方の祖父の遺産を独り占めすることはできないのです。

遺留分を請求できるか?

では、祖父母の相続財産を、亡き親の兄弟が独り占めした場合、代襲相続人が相続財産を請求する方法はあるのでしょうか? 民法では、一定の相続人は、最低限の遺産相続を受けられる旨が定められています。この最低限の遺産相続分のことを「遺留分」と言います。

特定の相続人が遺産相続の手続きを行い、他の相続人の遺留分を侵害した場合、遺留分を侵害された相続人は遺留分減殺請求を行う権利を有しています。そして、この遺留分減殺請求権は代襲相続人にもあります。

今回のケースでは、Oさんは伯父さんに対して遺留分減殺請求を行うことができます。遺留分減殺請求が認められれば、Oさんは法定相続分の2分の1の遺産を相続することができます。

まとめ

祖父母より先に親が亡くなっている場合、祖父母の遺産分割や相続手続きは亡き親の兄弟とともに行うことになります。その際、遺産相続をめぐって争いが生じることもありますが、代襲相続人という地位を理解してもらい、遺産分割協議を行う必要があります。もし理解してもらえない場合は、遺留分減殺請求を行います。

文:丹所美紀(行政書士)

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