病気で字が書けない。遺言書を代筆してもらうことはできる?

Aさんは現在入院中で、病気のために自分で字を書くことができません。しかし、遺言は今まで築いてきた財産を守ったり、子どもを認知したりなど、相続人間の争いを減らすことができると聞いています。Aさんは自分の意思を話すことはできるので、遺言書を作成したいと考えています。誰かにAさんの遺言内容を代筆してもらうことで、遺言書を作成することはできないものでしょうか?

代筆された遺言書は無効か?

遺言書を代筆してもらいたいけれども、代筆された遺言書は無効になるという話も……。こんな悩みを持っている人もいらっしゃいます。この点について、法律上はどうなっているのかをみてみましょう。

まず、一般的によく使われる遺言書には、自筆証書遺言と公正証書遺言の2種類があります。自筆証書遺言とは、文字どおり自筆で作成する遺言書です。これに対して公正証書遺言とは、公証人役場で公証人が作成する遺言書です。

そして、「代筆された遺言書が無効になる」という話は、自筆証書遺言についてのことです。その根拠は、自筆証書遺言については、法律で、遺言書の「全文、日付及び氏名を自署」して押印すると定められているからです。

では、Aさんのように病気で自筆できない人は、遺言書を作成することができないのでしょうか?

確かに自筆できないAさんは自筆証書遺言を作成することはできません。しかし、公正証書遺言であれば作成することができます。

自筆できない場合の遺言書の作成方法

「公正証書遺言」とは、遺言する人(遺言者)が公証人と面談をして遺言内容を伝え、公証人がその遺言内容を文章にし、遺言者の遺言書とするものです。そのため、遺言者が遺言書の内容を自筆する必要はありません。

公正証書遺言には、最後に遺言者および証人2人が署名捺印します。しかし、遺言者が署名もできないような場合には、法律で公証人が遺言者の署名を代書することが認められています。

では、病気の遺言者が公証人役場に行くことができない場合でも、遺言者は公正証書遺言を作成することができるのでしょうか?

遺言者が病気や高齢などの理由により公証人役場に行って公証人へ遺言内容を伝えることができない場合、公証人が病院や自宅へ出張してくれるサービスがあります。そのため、自宅や病院などにいるような状態でも、公正証書遺言を作成することができます。

公正証書遺言の作成に必要なもの

公正証書遺言を作成するために必ず必要となるものは下記の4つです。遺言内容や状況によっては下記以外にも必要なものが出てきますので、詳しくは公証人役場や担当公証人に確認してください。

  1. 遺言者の本人確認資料(印鑑登録証明書または運転免許証、顔写真入りの公的機関が発行した証明書など)
  2. 遺言者と相続人との続柄がわかる戸籍謄本
  3. 財産を相続人以外の人へ遺贈する場合は、遺贈される人の住民票や法人の資格証明書
  4. 財産に不動産がある場合、登記簿謄本および固定資産評価証明書または固定資産税・都市計画税納税通知書中の課税明細書

まとめ

自分で文字を書けない人が、遺言書を代筆してもらうことはできるのか? 自分で文字を書けない人が、遺言書を作成するにはどうしたらいいのか? 自分または自分の身近な人がこのような状態になったとしても、公正証書遺言であれば、遺言書を作成することができます。

文:丹所美紀(行政書士)

参考:

  • 日本公証人連合会|遺言

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