不動産登記が亡くなった人の名義のまま。名義変更をしないデメリットとは

5年前に父が亡くなり、母と同居の長男が土地と建物を相続し、別に住む次男と長女、母の3人で現預金を分けました。相続税が発生しなかったこともあり、不動産登記は亡父のままで名義変更をしていないのですが、このままにしておくと、どんなデメリットが考えられるでしょうか?

相続による不動産の名義変更の期限はいつ?

相続税の申告は、被相続人が亡くなってから10カ月以内に行わなければなりません。では、相続財産に不動産がある場合、不動産の名義変更はいつまでに行わなければならないのでしょうか?

実は、相続があった場合に相続何カ月以内に不動産の名義変更を行わなければならない、という定めはありません。そのため、今回の事例のように5年前に父が亡くなり、母と同居の長男が不動産を相続したにもかかわらず、不動産登記を亡父のままにしていて母や長男へ名義変更する手続きを行っていなくても罰則はありません。

だからといって、相続した不動産の名義変更を行わないままでいれば、将来さまざまな面倒が降りかかってくるおそれがあります。

権利関係が複雑化する

法定相続分で不動産の名義変更を行う場合は、法定相続人が1人だけで行うことができます。そのため、母と長男が不動産登記を亡父の名義のままでいた場合、例えば、次男がその不動産を法定相続分で相続したように名義変更登記を行い、さらに次男の持分を第三者へ売却するといったことも可能性としては考えられます。

このようなことがなくても、やがて今の相続人も亡くなります。今回の事例でいえば、亡父の相続人は母、長男、次男、長女の4人ですが、不動産の名義変更をする前に長男が亡くなり、長男に子どもがいれば、代襲相続が起こります。これは、次男、長女が亡くなった場合も同じです。あちこちで代襲相続が起きるため、時間とともに相続人の数が増えて複雑化する可能性があります。

さらに、相続人のなかに認知症患者が出てくると、家庭裁判所で成年後見人や特別代理人の選任などを行ってもらう必要が出てきます。このように、時間が経てば経つほど権利関係が複雑化します。すると、不動産登記の変更はより大変になってしまうでしょう。

不動産を売却したり、担保にしたりできない

将来的には相続した不動産を売却したり、不動産を担保にお金を借りたりといったこともあり得ます。ですが、このような場合には、不動産の名義変更をしている必要があります。

しかし、今回の事例のように亡父から母や長男に不動産の名義変更を行っていなければ、不動産を売却したり、不動産を担保にしたりすることができません。このことには注意が必要です。

まとめ

相続財産に不動産がある場合、不動産は高額であるために、早く売却して現金化したい場合もあれば、特に名義変更をしなくても生活に支障がない場合もあるでしょう。後者の場合は、不動産の名義変更をするのが後回しになってしまいがちですが、さまざまなデメリットがあるので、早めに名義変更をすることをお勧めします。

文:丹所美紀(行政書士)

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