慰謝料請求って相続できるの?

父の不倫相手に慰謝料を請求している最中に、母が急死しました。母から不倫相手への慰謝料請求権は、子が相続できるのでしょうか?

配偶者の不倫相手への慰謝料請求とは?

例えば、夫が、妻以外の女性から脅迫などで肉体関係を強いられたという状況ではなく、夫の自由な意思で妻以外の女性と肉体関係を持ったとき、不倫された妻は精神的苦痛を受けます。このとき妻は、不倫相手に対して慰謝料を請求できる場合があります。この妻が夫の不倫相手に対して慰謝料請求するためには、一般的に以下の要件が必要だといわれています。

  • 夫の不倫相手が、夫が既婚者だと知っていること

夫が不倫相手に対して独身者を装っていた場合には、妻は夫の不倫相手に対して慰謝料請求することはできません。しかし、不倫相手が注意していれば、夫が既婚者であることに気づいたはずなのに、その注意を怠ったという状況であるならば、夫の不倫相手は妻からの慰謝料請求の対象となり得ます。

  • 夫が不倫相手との間に肉体関係があったこと

夫と不倫相手との間に肉体関係がある必要があります。ただし、夫と不倫相手との間に肉体関係がなくても、夫と不倫相手が一緒にラブホテルにいたといった場合には不倫関係にあったとされ、慰謝料請求の対象となり得ます。

  • 夫と妻との間の夫婦関係が破綻していなかったこと

夫と不倫相手が不倫関係にあった時点で、夫と妻との間の夫婦関係が破綻していたのであれば、妻が夫の不倫によって精神的苦痛を受けたとはいえません。したがって、慰謝料を請求するには、夫と妻の夫婦関係が破綻していないことが前提となります。

  • 夫と不倫相手とが不倫関係であるという証拠があること

夫や不倫相手が不倫関係を認めている場合は、具体的な証拠がなくても慰謝料請求が認められやすいでしょう。しかし、夫や不倫相手が不倫関係を否定している場合には、不倫関係を示す証拠がなければ、慰謝料請求は認められにくくなります。

こうした要件を満たすとき、配偶者の不倫相手に対して書面などで慰謝料を請求したり、裁判を起こして慰謝料を請求したりすることができます。

慰謝料請求は相続できるか?

では、配偶者の不倫相手に対する慰謝料請求権は相続できるのでしょうか? 

慰謝料請求権とは損害賠償請求権の一種です。現在の学説・判例によれば、損害賠償請求権は相続財産の一種であるため、原則として相続の対象となるとされています。そのため、本件の事例でいえば、父の不倫相手に対して、亡くなった母が有していた慰謝料請求権は子に相続されます。

まとめ

配偶者が不倫した場合、不倫された側は、上述した要件を満たせば配偶者の不倫相手に対して慰謝料請求ができます。この慰謝料請求権は損害賠償請求権の一種ですので、もし権利者が故人になったとしたら、それは相続財産となります。

文:丹所美紀(行政書士)

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