父の前妻が現れた!遺産相続人の優先順位を知りたい!相続放棄はどうやってするの?

父が数千万円の財産を残して亡くなった。母はすでに他界し、子どもは自分のほかに妹、弟がいる。しかし、父には母と結婚する前に別の女性と結婚していて、その女性との間に子どももいたそうだ。その前妻と子どもも、父の遺産を相続することになるのだろうか。

大切な家族が残念ながら亡くなった場合、悲しみに暮れている暇もなくただちに遺産相続が始まります。亡くなった人を「被相続人」と言いますが、その被相続人の死後10ヵ月以内に遺産分割と相続税の納付を済ませなくてはなりません。

誰が法定相続人になるのか

案の定、父が亡くなったことを人づてに知った前妻が訪ねて来て、「私と子どもにも遺産を相続する権利があるはず」と主張してきた。この場合、前妻の言う通り、前妻とその子どもにも父の遺産を分けなければならないのだろうか。

ある人が土地や建物、現金などの財産を残して亡くなった場合、それを相続できる相続人は法律上決まっており、原則としてその人たち以外に亡くなった人の財産を相続することはできません。また、相続人には、優先順位があります。法定相続人とその順位はどのようになっているのかについて見ていきましょう。

相続人の種類

法定相続人には、大きく分けて「配偶者相続人」と「血族相続人」の2種類があります。

①配偶者相続人

被相続人の夫または妻のことを指します。配偶者は常に法定相続人となります。

②血族相続人

血族相続人になれる範囲は、被相続人の子や孫などの直系卑属、両親や祖父母などの直系尊属、兄弟姉妹までとなっています。

法定相続人の順位とは

同じ法定相続人の中でも順位があり、その順位は以下のようになっています。

第1順位:子ども

第2順位:父母・祖父母などの直系尊属

第3順位:兄弟姉妹

例えば、被相続人に妻と子がいる場合は妻と子の2人で遺産を相続することになります。被相続人に子や孫がいないあるいは子や孫が相続放棄をした場合は、第2順位にいる被相続人の父母が遺産を相続します。さらに、被相続人の両親もいない場合は、被相続人の兄弟姉妹に相続権が移ることとなります。

他に法定相続人になりうるケースとは

他にも、以下のようなケースが法定相続人になりえます。

①胎児

相続開始のときに生まれていなかった胎児については、無事に出生すれば相続開始時にさかのぼって法定相続人としての権利が得られます。ただし、残念ながら死産だった場合は法定相続人とはならないことに注意が必要です。

②非嫡出子

父母が未婚状態で生まれた子のことを「非嫡出子」と言います。母親と非嫡出子は当然に親子関係が生じますが、父親との親子関係は父親が子を認知して初めて生じます。したがって、非嫡出子でも、父親が認知をすれば相続人となることができます。

③養子

養子は法律上、実子と同じ扱いとなります。例えば、被相続人が再婚相手の連れ子と養子縁組をして養子にした場合は、養子は養親である被相続人の相続人となれます。

④事実上、離婚状態にある配偶者

夫婦仲が冷え切っており、別居状態にあっても、戸籍上離婚をしていなければ当然に配偶者は法定相続人になります。

代襲相続について

被相続人より先に、相続人となるべき子が亡くなっていた場合や、一定の場合に法定相続人が相続できない場合に発生するのが「代襲相続」です。

代襲相続が起こりうる立場とは

例えば、被相続人が亡くなったが被相続人の子もその時点ですでに他界している場合は、孫が子に代わり遺産を相続します。孫も亡くなっている場合は、曾孫・玄孫…と直系卑属が順番に代襲相続をすることになります。

また、被相続人の兄弟姉妹の子に関しても代襲相続が発生することがあります。例えば、被相続人の法定相続人が弟しかおらず、その弟がすでに他界している場合は、弟の子である甥または姪が代襲相続することとなります。

ただし、直系卑属の場合と異なり、兄弟姉妹の場合は甥または姪で代襲相続はストップするため、甥または姪より下に相続権が移ることはありません。

養子の子の代襲相続はどうなる?

被相続人と養子縁組をした養子は、法律上実子と同様の扱いを受けることになるため、養子は養親の法定相続人となります。被相続人が亡くなる以前に養子が亡くなっていた場合は、養子の子が代襲相続をすることとなります。

しかし、養子の子が養子縁組よりも前に生まれていた場合は、養親との間に法定血族関係は認められず、直系卑属には当たらないとされているため、養子の子の代襲相続は発生しません。

代襲相続が起きるケースとは

代襲相続が起きるのは

①相続開始以前に相続人が死亡している場合

②相続人が相続欠格にあたる場合

③相続人が相続人を廃除されている場合

の3つに限られます。

相続放棄は「相続人となるべき人が相続人にならない」という観点から考えると、これらの条件に当てはまりそうにみえます。しかし、相続放棄は、初めから法定相続人を相続人でなかったものとみなされるもののため、代襲相続は起こらないことに注意しましょう。

相続放棄(マイナスの遺産を相続しないためには)

莫大な遺産が残されたとばかり思っていたが、遺品を整理していたら、なんと借用書や消費者金融との契約書が何枚も出てきた。どうやら父は、実は莫大な借金を抱えていたようだ。このまま遺産相続をすれば、この借金まで引き継ぐことになってしまう。父の代わりに自分借金を負うのは何としても避けたい。一体どうしたらよいのか…。

相続人が遺産を相続するときには、土地や建物、現金などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの遺産も相続しなければなりません。もし、被相続人が多額の借金を抱えて亡くなった場合、相続人はどうすればよいのでしょうか。

マイナスの遺産が多ければ相続を放棄できる

「被相続人が亡くなった後、机の引き出しから消費者金融の借用書が出てきた」「貸金業者や金融機関から代わりに借金を返済するよう迫られ、被相続人に借金があることを知った」というケースは珍しくありません。

被相続人に多額の借金があった場合、相続人がそれを無条件に相続すれば、いきなり借金を抱えることとなり、その後の生活に大きく支障をきたすことになります。そこで、法律上、相続人が遺産相続することで明らかに債務超過になるときには、相続人は相続を放棄することができるようになっています。

相続放棄は3ヵ月以内に行う

相続放棄をするには、法律上、「自己のために相続の開始があったことを知った日」から3ヵ月以内に手続きをすることが必要です。「自己のために相続の開始があったことを知った日」とは、被相続人が亡くなったことを知った日のことを意味します。被相続人が亡くなっても、その事実を知らなければ、この3ヵ月のカウントは始まりません。

相続放棄の手続きは、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で行います。相続放棄の申述書のほかに、被相続人の住民票除票または戸籍附票、申述人の戸籍謄本などの書類が必要になりますが、その他の書類については相続人としての立場(配偶者・子・父母等)によって異なるため、裁判所に確認しましょう。

相続放棄をする際の注意事項

相続放棄をする際には3つの注意事項があります。これらについて熟慮した上で手続きをしたほうがよいでしょう。

①後順位の相続人に相続権が移る

例えば、夫が1000万円の借金を抱えて亡くなったとき、遺された妻と子が相続放棄をすれば、夫の両親に相続権が移ります。つまり、夫の両親が1000万円の借金を抱えることとなり、親族関係にひびが入る可能性も考えられます。

②相続放棄の撤回はできない

相続放棄をしてから借金額を上回るような高価な遺産が出てきた場合、「知らなかったから」と言って相続放棄を撤回することはできません。相続放棄をする前には、どんな遺産があるのかをしっかり調査することが大切です。

③プラスの財産も相続できない

相続放棄をすれば、土地や建物、現金などのプラスの財産も一切相続できなくなります。被相続人の財産状況をよく調査し、プラスの財産とマイナスの財産を比較した上で相続放棄を行うことがベストでしょう。

被相続人が亡くなれば、たった10ヵ月の間に遺産分割を進め、相続人がそれぞれ相続税を納めなければなりません。いざというときに備えて、誰が法定相続人になるのかについてあらかじめ知っておくことが大切であると言えるでしょう。

私は父の遺産相続を放棄することに。もちろん、プラスの遺産もそれなりにあるが、やはり借金は負いたくないという結論に達したのだ。

父の前妻が現れたりと、騒動が多かった父の遺産相続もこうして幕を閉じた。

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