父親と母親ではどちらが有利?離婚時の親権者の決め方を解説

■親権者は話し合いでも決められる

親権は、慰謝料や財産分与などそのほかの事項と同じように、夫婦の話し合いで決めることが可能です。しかし、離婚の際、夫婦で話し合わなければならないことがたくさんある中でも、特に大きな争点となるのが親権です。お互いに離婚に納得し、慰謝料や財産分与などに関してもきちんと話し合いで解決できたのに、どちらも譲らず、親権者についてだけはどうしても折り合いがつかない、といった事態も起こり得ます。

離婚届には親権者を記入する欄があり、夫婦に未成年の子がいる場合、親権者を決定しないことには離婚そのものができません。そのため、夫婦の話し合いで離婚の合意などはできても親権者を決めることができなければ、親権に関してのみ、家庭裁判所の調停や裁判で決めることになります。

■最優先されるのは子どもの権利

裁判所を介して親権を決定する場合はさまざまな事情が考慮されますが、その中でももっとも重視されるのは、「子どもの利益につながること、子どもの幸福が守られること」です。親権は子どもと一緒に暮らす“親の権利”である一方で、健全な育成が守られるための“子どもの権利”という側面もあるからです。

特に、離婚を機に子どもの生活環境が大きく変わってしまうことは、子どもにとって多大なストレスとなり、心身の発達にも影響します。そこで、「どちらが主に育児を担っていたか」という点がひとつの争点になります。一般的に、子どもが小さいころは母親の愛情が必要だと理解されており、子どもの年齢が10歳未満の場合は、母親のほうが親権者として有利な傾向があります。

しかし、毎日食事を作って食べさせていたり、着替えなど身の回りの世話をしていたり、幼稚園や保育園への送迎をしていたりなど、父親のほうが中心になって育児を行っていた場合は、子どもが小さくても、母親より父親のほうが親権者として適任だと判断されることもあります。母親が子どもに虐待やネグレクトなどをしていて、親としての資質が疑われる場合も同様です。

ちなみに、親権者の決定に関しては、不倫をして離婚原因を作ったほうであるとか、収入が低いといったことはあまり関係ありません。たとえ不倫をしたとしても、きちんと子育てをしてくれる親のほうが、子どもの健全な成長にとっては必要だといえるでしょう。また、日頃から子育てを担っているほうの収入が低いのであれば、養育費を支払うことで子の利益を守ることができます。

■15歳以上なら子どもの意思が反映される

前述のとおり、親権はある意味で子どものためのもの。子どもが15歳以上の場合は、自分で考え判断し、その意思を述べることができると判断されるので、どちらを親権者としたいか子どもの意見を聞き、原則としてその意思が尊重されることになります。もちろん、子どもの肉体的・精神的な状況や子どもを取り巻く環境、親の愛情などほかにもいろいろなことが考慮されるので必ずではありませんが、15歳以上の年齢になっていれば、子どもの意思が最大限に尊重されると考えていいでしょう。

また、子どもが10~14歳の場合も、ある程度自分の考えを表現する能力はあると判断されるので、子どもの意思が親権者を決定する一要素として考慮されます。ただし、15歳未満の子どもは判断力に乏しい面もあり、本当に子どもの意思なのか、大人に強制されるなどしていないか、なども慎重に検討されます。

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