どんなことを調べにくる?相続税の税務調査

「税務調査は恐ろしいもの!」と考えている人が多いのではないでしょうか? 法律を盾に、有無を言わさずお金(税金)を取っていく彼ら。恐ろしく思うのも当然かもしれません。
でも、怖がらなくても大丈夫です! 事前にその内容を知っていれば安心して対応することができます。

調査はいつやってくる?

一般的に、相続税の税務調査は相続税の申告書を提出した後、大体3年の間に行われます。財産の多寡やその内容によって、調査が行われる時期は違います。財産が多い場合や申告内容が複雑な場合では、税務署も事前の確認事項が多く、慎重になるので当然調査の開始時期は遅くなります。
これに対して、税務調査が行われないケースもあります。財産の金額がそれほど多くなく、申告内容が単純なものは税務調査が行われないことがあります。一般的な考えですが、約2億円の課税価格が目安になるのです。

国税庁の資料によると、平成24年分の相続税は、亡くなった方の数が125万6,359人のうち課税対象となったのは約4%の5万2,572人でした。そして、平成24年の事務事業年度(税務署の事務事業年度は7月から翌年6月までをいいます)では、相続税の税務調査が約1万2,000件行われています。相続税を申告したうち5人に1人以上が調査の対象になる計算です。

税務調査で調べられること

税務調査では、次のようなことを調べられます。

財産の申告漏れはないか?

相続税の税務調査は、財産の申告漏れはないかということを調べます。その中で最も重視されるのが預金口座です。調査官は、税務調査の前に被相続人や相続人の預金口座を全て調べてきます。過去3年から5年分は調べ上げていると考えてよいでしょう。被相続人の預金口座からお金がどのように使われたのか、不動産や株式等の購入に使われていないか、相続人の預金口座にそのお金が移動していないか……を調べ、申告内容と照らし合わせてくるのです。そして、仮に申告されるべき財産(被相続人が所有していたであろう財産)が、申告されていなかった際に、税務調査でその財産がどこにあるのかを指摘してくるのです。

亡くなった方の人柄

税務調査当日、調査官はさまざまな質問をしてきます。特にベテランの調査官ですと、質問も実に巧みになってきます。被相続人の人柄から、財産の状況等を調査官は推測するのです。

「どのような生い立ちでしたか?」

質問の意図:引っ越しが多く、その土地で不動産を持っている?

「交友関係は広いですか?」

質問の意図:友人の会社との取り引きはないか? 遊び好きではないか? 愛人がいないか?

「趣味は何ですか?」

質問の意図:趣味が投資だったりしてないか?

「入院していた期間はどれくらいでしたか?」

質問の意図:その間の資金の管理は誰がやっていたのか?

どんな準備をしておくべき?

では、税務調査のためにどのような準備をしておけばよいのでしょうか。

亡くなる前にできる準備

申告漏れを防ぐために、できる限り被相続人の資産状況を把握することが大切です。亡くなってしまったら、何がどこにあるか一切わからなくなってしまいます。遺言にその内容をしたためておくのが一番良いのですが、簡単な財産目録・メモなどでも十分です。もちろん、債務も忘れずに書き出しましょう。

亡くなった時から税務調査があるまでにできる準備

税理士との打ち合わせが最も重要です。その税理士に対して、知りうる情報を全て伝えるようにしてください。また、気になることや不安なことも税理士に打ち明けるようにしましょう。税理士が事前に調査の受け方や注意事項、想定される指摘事項などを説明してくれます。相続税の調査を受けるのは一生に一度あるかないかです。税理士を有効活用しましょう。

ただし、一点注意が必要です。ひとくちに医者といっても内科、小児科、整形外科などがあるように、税理士にも得手不得手があります。税務顧問をすでにお願いしている税理士がいない場合は、相続税を専門にやっている税理士にお願いするのがベストです。

文:松本恒(税理士)

参考:

  • 「これで安心!税務調査 相続税調査の手続きと対応」清文社(2013・3・7)加地宏行・吉村政勝

国税庁|国税庁リポート2014 

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