相続税の申告で注意すべきこと

相続税という単語は知っていても、実際にどのように手続きをするか知っていますか? 相続税は被相続人が死亡したとき、所轄の税務署に相続税の申告書を提出して納税せねばなりません。今回は相続を申告するにあたり、気をつけるべき点を解説します。

相続税の流れ

通常、亡くなった日を相続開始日といいます。相続が開始すると、戸籍謄本を確認して、相続人を確定させます。被相続人の遺産を誰がどのように取得するのかについて、被相続人の遺言があるかどうか、あわせて財産・債務のリストアップを行います。亡くなった日の翌日から3ケ月、4ケ月、10ケ月は相続の申告の手続き上、注意すべき期日になります。

3ケ月以内に行うこと:相続放棄・限定承認

相続する財産は、プラスのものとは限りません。借金などの債務も相続の対象です。

また、財産をもらわないことと、相続放棄は別物です。借金を相続してしまうと、相続財産以外から返済が必要になることもあります。このマイナス財産は相続人の誰かが引き継いでしまうと、自動的に相続人が法定相続分で相続したことになります。もし、被相続人にプラスの財産を超える、マイナス財産がある場合は注意してください。

相続放棄・限定承認をする場合は、相続開始日から3ケ月以内に裁判所に申し立てをしましょう。

4ケ月以内に行うこと:所得税の準確定申告

被相続人が、個人事業主として商売をしていたり、不動産賃貸収入があったりする場合は所得税の準確定申告という手続きを行います。申告書の提出期限は、相続開始日から4ケ月以内となります。通常、確定申告期限は2月16日から3月15日のため、翌年になって気がついたときには期限後などということも……!

商売を相続人が引き継ぐ場合、青色承認申請や消費税に関する届出書の提出期限も、4ケ月以内となるため該当する場合は期限に注意してください。

10ケ月以内に行うこと:相続税の申告・納税

相続税の申告書を出し、納税する期間です。相続税の申告は、相続税の基礎控除額を超える場合には、自分で手続きが必要となります。「税務署から用紙がこないから、払わなくて大丈夫!」というわけではないのです。

相続税の計算の仕方  

相続税の計算は、次のようになります。

財産-債務・葬式費用-基礎控除=課税遺産総額

これら一つひとつには、次のようなものが当てはまります。

財産

現金や預貯金、土地や建物などの不動産のほか、国債や株式などの債券、車、家財などの動産、その他生命保険金、電話加入権などがあります。

債務

銀行の借入金、未払いの税金などがあります。

葬式費用

葬儀にかかる費用のみで墓石や仏壇購入費用、初七日法要費用、香典返礼費用を除きます。

基礎控除

基礎控除は3,000万円+600万円×相続人の数になります。課税遺産総額を一定の方法で計算して、相続税額を計算します。

相続税の財産評価で特に注意すること

現金

亡くなったことを銀行に連絡すると、分割協議が終わるまで、口座が凍結され引き出しができなくなります。相続開始日に使用していない分は手元現金として相続財産となります。

預貯金

妻や子ども、孫の名義の預金であっても、実際は被相続人が管理していた預金は、被相続人の預貯金として取り扱われることがあります。これを名義預金といいます。
妻が夫から渡される生活費の中から、少しずつへそくり貯金をしていたとします。夫が亡くなると、その妻名義の預金が、名義預金として夫の相続財産とされたケースがあるので注意が必要です。

不動産

土地は、相続税財産評価通達による評価を行います。家屋は固定資産評価額で評価します。

遺産分割方法や一次相続か、二次相続かで相続税額が変化する

被相続人が遺言を残さなかった場合、相続人間で遺産分割協議をすることになります。このときに「誰が」「何を」相続するかで、相続税額が変わってくることがあります。

例えば、夫の財産を妻が相続する場合、夫と妻は世代が近いため相続税の計算上配慮されています。よって一次相続では税額が安くなるかわりに、妻(子どもからみて母)が死亡したときの相続(二次相続)では高くなる傾向があるのです。
このように、相続税額の節税を考える場合、今回の相続(一次相続)のことだけではなく、その先の二次相続も考える必要があります。

また、被相続人の自宅を一緒に住んでいた人が相続し、そのまま居住している場合には相続税の計算上、相続財産の評価額を減額できる、小規模宅地等の評価減という制度があります。

まとめ

このように、相続の申告をするときはさまざまな注意が必要です。誰が、何を相続するかによっては節税になることがあるとはいえ、子どもに相続させすぎて、妻の生活がままならなくなるようでは本末転倒といえます。知識のある人から助言をうけつつ、自分たちに適した相続をしていきましょう。

文:添田裕美(税理士)

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