これはマズイ!相続税の税務調査で妻名義の貯金があると追加徴税されるかも?

相続税の申告、相続税の税務調査において、必ず課題として出てくるのが名義預金です。最近では預金口座を作るのも一苦労ですが、昔は簡単に他人名義の口座も作れました。この名義預金、何が問題なのでしょうか?

妻名義の預貯金が夫の財産とされるワケ

「これは私のお金です!!」

これは相続税の税務調査で配偶者名義の預金通帳が発見されたとき、決まって出てくるセリフです。結婚してから夫が亡くなるまでの何十年もの間、夫を陰で支えてきた配偶者の心の叫びはわかるのですが、残念ながら税務でこのような理屈は通用しないのが現実です。

想像してみてください。結婚を契機に、専業主婦になった妻の預金口座に5億円もの残高があった場合を……。確かに主婦業は大変な労働であることに間違いありません。しかし、相続税ではお金の出所、つまり真のお金の所有者は誰かということに着目します。つまり、このケースでは5億円の出所はたとえ名義が配偶者であったとしても、彼女は実際に給与等をもらっていたわけではありませんので、夫の給与がこの5億円の源泉と考えるのが妥当です。税務署は、形式的な名義だけを捉えて財産の所有者として判断するのではなく、実質的にその財産の所有者、管理者は誰かということに重点を置くのです。

配偶者本人の財産として認められるもの

1.配偶者が自ら稼いだお金

配偶者が、会社に勤めて給与をもらっていたり、投資や自ら事業を行っていたりして、お金を稼いでいることもあります。この場合は、文句なく配偶者の財産として判断されます。たまにあるのですが、配偶者が資産家の家系の生まれで、親の相続で多額の財産をもっているケースがあります。これも当然、配偶者の財産です。

2.夫から配偶者へ贈与していた場合

近年、生前贈与がブームになっています。夫から配偶者へ、預金を贈与していた場合はどうでしょうか? この場合、原則として配偶者の財産として判断されます。ただし、夫から配偶者への贈与といえども贈与契約書をきちんと締結して、金銭のやり取りも振り込みで行い、正しく贈与税の申告をしていることが前提です。相続税の税務調査が行われた際に、当時のやり取りやこれらの書類を証拠資料として提出できればよいのです。

一方で、これらの書類等がなく贈与税の申告もしないで、口頭だけで「贈与の事実があった」と主張することには無理があります。つまり、第三者がみても贈与があったことがわかるような資料の保管、贈与税の申告をしていることが必要なのです。

税務調査でみつかったときのペナルティ

1.過少申告加算税、重加算税

相続税の税務調査が行われ、その結果として修正申告を提出する、または税務署の職権(「更正」といいます)により追加で税金を払うことになった場合には、その追加で払う税金のほかに、さらにペナルティとして税金を払うことになります。これを過少申告加算税、もしくは重加算税といいます。
過少申告加算税は、追加で払う税金の10%相当額(一定の場合には15%)になります。これに対して重加算税とは、「事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し」た場合に、課されるペナルティです。「隠ぺいし、又は仮装し」ですから、非常に重い負担が課され、追加で支払う税金の35%相当額(無申告だった場合は40%)になります。

2.延滞税

相続税の税務調査が行われた結果、修正申告等で追加の税金を払うことになった場合には、その税金に対して延滞税というペナルティが課されます。遅延利息のような意味合いです。平成27年1月1日以降の利率は2.8%になっていますが、平成25年までは4%以上の税率でした(「偽りその他不正の行為」による場合は異なる税率になります)。金融機関の利率と比べても圧倒的に高い利率ですので、罰則的な意味合いも含まれているのでしょう。

まとめ

税務調査では「この預金口座は、配偶者の名義だから大丈夫!」ということにはなりません。重要なのは、その財産の出所がどこで、誰が管理を行っていて、そして、実質の所有者が誰であるかということです。相続税の調査があってからでは手遅れです。今のうちから適正な対応をするのが肝心です。

文:松本恒(税理士)

参考:

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