個人事業主が知っておくべき経費になるもの・ならないもの

確定申告を終え、ホッとしている個人事業主もいることでしょう。しかし、春は来年の確定申告の準備を始めるためには最適な時期です。実は経費になるものが、まだまだあるかもしれません。今から準備をして、来年の確定申告はスムーズに対応しましょう!

サラリーマンじゃなくてもスーツやかばんが経費になる?

スーツなどの洋服は生活するうえでもともと必要なものです。そのために「スーツは経費にならない」という考えが主流でした。しかし、昨年から条件を満たせばサラリーマンのスーツなども特別支出控除として認められる可能性が出てきました。

個人事業主は給与所得者ではないため、このような特別支出控除の恩恵はありませんが、個人事業主の必要経費も「仕事のために必要である」ことが認められる場合には、確定申告の際に経費として扱えるものもありそうです。

例えば出張で荷物の多い人が、仕事専用にキャリーケースを購入した場合、これは経費になります。このほかWEB業界やIT業界で働く個人事業主など、普段スーツを着用しない人が多いものです。しかし、取引先の人と商談のために会ったり、取材を受けたりするために、必要があってスーツを購入した場合には経費になることもありそうです。つまり「普段は使わないけれど、仕事上必要となり、実際に仕事上で使う」ためのものであることがポイントです。逆にいえば、カバンやスーツを仕事にもプライベートにも兼用で使っている場合は、経費とすることはできないケースもあるので、ご注意を。

ただし、どんなに仕事上で必要だからといってブランドバッグや高級スーツなどのように、社会通念上、あまりに高額の出費は、仕事用として上記に該当していたとしても経費にならないケースもあるようです。

経費として扱えないもの

では、どんなものが経費として扱えないのでしょうか? 基本的には個人事業主の仕事に関係のないものは経費になりません。プライベートで生活のために支出するものは、個人事業主の仕事と関係ないために、経費にすることができないのです。具体的には、家族の生活費、医療費、教育費、娯楽費、住宅の家賃、地代、修繕費、固定資産税、火災保険料、家事上の電気代、ガス代、水道代などの公共料金などがあげられます。

目的によって経費になるものは変わってくる

何のために使ったのか、その目的に応じて経費になるもの、ならないものがあります。特に個人事業主の場合は法人と違って、仕事用のもの、プライベート用のもの、共通のものの3つに分けることができます。

実は、この仕事とプライベートが共通のものというのがグレーゾーンです。共用なので、全部を経費にするわけにはいきませんが、経費として扱うことができるものもあります。例えば、自宅兼事務所の場合の家賃や、水道光熱費、仕事用とプライベート用で共用している車や車両関係費、携帯電話や固定電話などがあげられます。

どこまでが仕事で、どこからがプライベートとすればよいのか。いくら経費にしてよいか、について実際に細かい決まりはありません。支払額を仕事とプライベートの使用頻度などの割合に応じて区分することが多いですが、この割合について画一的なやり方はありません。

どのような状況で支払ったものか、どのような事業をされているのかで異なってしまいます。前述のとおり、普段は使わないけれど、仕事上は必要となり、実際に仕事上で使うためのものになる場合は、経費とすることができます。また、プライベートと共用であっても、区分することによって、一部を経費とできるものもありそうです。あいまいな部分になりますが、これらは仕事の内容や状況などに応じ、個別に考えていくことになります。

具体的な例をあげてみましょう。キャバレーで働く女性が仕事で着る、ヒラヒラとした透け感のあるドレスは経費として認められます。なぜなら一般的に考えて、こうしたドレスは友達と会ったり、買い物に行ったりするときの日常着になることは考えられにくく、仕事だけの着用と考えるのが自然だからです。

また、富裕層を相手にする仕事に従事していて、対峙するためには良い物を身につけねばならないとか、人前に出る講師のような職業ではブランド物のスーツやカバンが経費として認められることもあります。といっても、ブランド物の領収証がすべてOKというわけではありません。仕事で必要だと考えられる数量であることが前提です。年間で10~20着もブランド物のスーツが必要だとは考えにくく、仕事のために年間でスーツ5~6着を購入していても、本来は日常使いであるため経費には認められにくいです。ただし、年収や状況に応じても変化するので、ひょっとしたら1~2着相当額を経費としていいケースもあるかもしれません。

まとめ

個人事業主の事業に必要な経費のうち、仕事とプライベートに共通して使用するものは、はっきりした決まりのない、いわばグレーゾーン。支払額を仕事とプライベートの使用頻度などの割合に応じて区分するなど、業種や状況に応じ、個別に判断していく必要があります。「これなら通る」という絶対的な指針がないため、自分の仕事にそれが必要かどうか、プライベートと判断されないかを客観的に考えてみるとよいでしょう。

文:添田裕美(税理士)

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