困った!相続税が払えないときの対処法

相続税が支払えず、やむなく家を売却する……。こんな話を聞いたことはないでしょうか。実際に相続税が支払えないとき、家を売る以外に方法はないのでしょうか。

20年かけて支払う「延納」という選択

相続税は、現金での支払いが大原則です。そうはいっても、相続財産がすべて現金や債券などの換金しやすいものであるとは限りません。むしろ相続財産のうちに、不動産の占める割合が多いため相続税が多額になるのに、現金は乏しいというケースのほうが多いのではないでしょうか。

延納とは、相続税を現金一括で支払えない人が、一定の要件を満たす場合に、申請をすることで、相続税の分割払いとすることができる制度です。この分割払いを利用できる期間は原則5年。ただし相続財産のうちに、不動産や立木などの不動産等の占める割合が大きい場合は、分割払いできる期間が最長20年までとなります。延納期間中は、利子税という利息がかかります。利子税は相続財産のうちに不動産の占める割合や延納期間に応じて変わってきますが、年3.6%~年6%となっています。

さらに延納を認めてもらうには、下記のような条件があります。

  1. 納める相続税が10万円を超えること。
  2. 納付期限内に現金で一括して納付することが困難で、かつ、その納付を困難とする金額を限度としていること。
  3. 延納税額が50万円未満で、かつ延納期間が3年以下の場合を除き、延納税額及び利子税の額に見合う担保を提供できること。なお、担保は、「国債や地方債、社債やその他の有価証券で税務署長が確実と認めるもの、土地、建物など」といった具合に、提供できる財産の種類が決められています。
  4. 延納しようとする相続税の納付期限までに、延納申請書を税務署長に提出していること。

現金の代わりに不動産で払う「物納」

現金の一括納付に代えて、上記の分割払い(延納)によってもお金で支払うことが難しい場合は、一定の要件に該当する場合、現金の代わりに不動産などで支払う「物納」という制度があります。

ただし物納できる財産にも、相続財産で日本国内にあるもの、といった一定の要件や、物納できる財産の優先順位が決められています。不動産を物納にあてる場合は、管理処分不適格財産に該当しないものであることといった要件もあります。つまり不動産をいくつか所有しているときに、利用価値の低いものを物納しようとしてもできない可能性があります。

物納しようとする場合は、延納と同様に、相続税の納期限までに、物納申請書に物納手続関係書類を添付して税務署長に提出する必要があります。

不動産を売却して支払いにあてる方法も

不動産を売却した現金を、相続税の支払いにあてる方法もあります。この場合は相続税のほかに、不動産の売却による譲渡所得税がかかるのでご注意を。相続税の支払いにあてるため、相続した不動産を、相続開始日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年以内に売却した場合には、譲渡所得税の計算上特例があります。この特例を受けるためには、相続税とは別に、個人の確定申告を行うことになります。

まとめ

いずれの方法をとるにしても、まずは相続税がかかるかどうかを考える必要があります。特に物納は十分な準備期間が欲しいところです。自分の相続税がどのくらいなのか、あらかじめ見積もりをしておき、相続税を現金一括払いができるかどうか、一括払いができないときは、いくら支払えないのかを事前に計算するなど、余裕をもった準備をしておくべきでしょう。

文:添田裕美(税理士)

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