マンション購入の贈与税がお得ってほんと?

新築マンションのチラシに「マンションへの投資で相続対策を」といった文言が書いてあるものを見かける機会が増えています。実際、マンションの購入と贈与税には、どのような関係があるのでしょうか。

不動産購入がなぜ相続対策になる?

亡くなった人の残した遺産を受け取ることを相続といい、残された遺産が一定額を超えると相続税がかかります。残された遺産は、取得時における時価で計算されます。「時価」とは不特定多数の当事者間で成立する価格をいいますが、不動産の価額には下記のようなものがあります。

  1. 地価公示価格:国土交通省が実施している土地価額調査で、不動産取引の指標とされます
  2. 相続税路線価:相続税や贈与税を算定する際の基準となる価額
  3. 固定資産評価額:各市町村が固定資産税を算定する際の基準となる価額
  4. 取引価格:売買当事者間で決めた価格

それでは、1億円の現金と、1億円でマンションを購入した場合、税金計算にどのような違いがでるのでしょうか。1億円の現金は、そのまま1億円ですが、1億円でマンション購入した場合は路線価での計算になります。地価公示価格を100とすると、だいたい相続税路線価は80、固定資産税評価額は70となります。実際の計算方法は異なりますが、1億円のマンションを地価公示価額と考えると、相続税路線価は8000万円です。

賃貸マンションの場合は、借地権や借家権も考慮できます。例えば借地権割合が70%の地域で借家権が30%のとき、掛け合わせた21%分を評価減できます。8000万円から21%評価減すると6320万円となります。

相続税の計算はもっと複雑ですが、わかりやすく相続税の最低税率の10%で説明しましょう。賃貸マンションの場合は、現金1億円より3680万円評価減され、368万円の節税につながることになるのです。

  • 現金1億円の相続税:1億円で計算
  • 1億円のマンションの相続税:6320万円で計算

賃貸収入がある場合は、マンションの生前贈与も検討しましょう

自分のマンションを賃貸物件として貸すなど、高額な不動産賃貸収入がある人は、結果として相続財産の現金が増えてしまいます。そこで不動産収入を生むマンションを自分が元気なうちに子供達に贈与する、生前贈与も検討しましょう。生前贈与の方法には暦年贈与(110万円まで非課税)と相続時精算課税制度があります。

相続時精算課税制度とは、2500万円まで贈与した段階では贈与税をかけない課税の繰延制度です。2500万円を超えた分は一律10%の贈与税率になります。相続時精算課税を一度選択すると暦年贈与は選択できなくなります。子供達の自宅購入援助の場合は限度額が3500万円になります。

ほかに子供達の自宅の購入を援助する場合、住宅取得等資金の贈与税の非課税制度があります。平成27年度の改正で3年間延長され、省エネ住宅や耐震基準を満たしている住宅の場合は1500万円まで贈与税がかかりません。

例えば子供の自宅購入資金のために1500万円を贈与した場合、約40%の税率で贈与税は366万円です。相続時精算課税を利用すると贈与税は0円ですが、将来の相続財産に1500万円が加算されます。省エネ住宅などの場合、住宅取得等資金の贈与税の非課税制度では、贈与税は0円になります。よって要件を満たす場合は、住宅取得等資金の贈与税の非課税制度を適用すれば一番節税効果が高くなります。

まとめ

不動産の購入は、賃貸者の決まらない空室リスクや修繕リスクがあります。また、税制は今後も変化します。節税のつもりで購入したのに、数十年後になって「こんなはずではなかった!」などといったことの無いように、慎重に検討する必要があります。

また、相続時精算課税制度や住宅取得等資金の贈与の特例制度を利用するためには、要件を満たす必要があります。年によって非課税の限度額も異なるので、国税庁のHPなどでしっかりと確認して検討するようにしましょう。もちろん、申告も要件のひとつなので贈与税の確定申告もお忘れなく。

文:添田裕美(税理士)

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