サラリーマンでもできる節税テク「雑損控除」

住民税や所得税といった税金が、給与から天引きされるサラリーマン。あまり節税テクは関係がないものと思われがちですが、実はサラリーマンでもできる節税テクがあります。今回はその種類と方法について解説します。

「雑損控除」ってなに?

「雑損控除」とは、災害・盗難・横領によって、生活に通常必要な資産について損害を受けた場合に受けられる所得控除です。所得控除とは、税金を計算する際、所得金額から差し引くことができる制度です。これは、税金の計算上、各納税者の個人的事情を加味しようとするためのもので、要件に当てはまれば受けられるものです。控除額が大きければ、課税される所得金額が減り、税金が少なくなります。

控除できる金額は次の算式のうち、いずれか多い方の金額です。損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以後3年間繰り越すこともできます。

  • (損害金額+災害関連支出の金額-保険金などによる補てん額)-総所得金額等×10%
  • 災害関連支出の金額-5万円

雑損控除は、年末調整では受けることができません。医療費控除や寄附金控除のように、確定申告が必要になってきます。要件に該当するか、しっかりチェックして受けられる所得控除を見逃さないようにしましょう。

どんなものが対象になるの?

それでは、雑損控除が受けられるのはどんな場合でしょうか。損害といっても実は微妙な規定があるのです。

雑損控除の対象となる場合

対象となるモノ

雑損控除の対象となる「生活に通常必要な資産」とは、住宅、家財、衣類などです。もちろん現金も該当します。本人のもののほか、扶養親族のものもOKです。

対象となる原因

  • 震災、風水害、冷害、雪害、落雷などの自然現象の異変による災害
  • 火事などの人為的災害
  • 害虫などに生物による異常な災害(シロアリ被害など)
  • 盗難、横領(空き巣や引ったくり、ネコババなどでしょうか。ネットバンキングの不正送金やスキミングによる不正出金も該当するでしょう。どれも自分ではどうしようもありません)

災害関連支出

台風後の土砂の撤去費用、被災家屋の原状回復費用などが該当します。また、豪雪地域の家屋倒壊防止のための雪下ろし費用なども対象となります。

雑損控除の対象とならない場合

対象とならないモノ

「生活に通常必要な資産」に該当しない別荘、30万円を超える宝石、骨董品などのいわゆるぜいたく品は対象になりません。事業用資産も対象外です。事業用資産の損失は、事業所得の計算上考慮されるからです。

対象とならない原因

盗難・横領と似たイメージですが、詐欺や恐喝の場合には、雑損控除は受けられません。したがって、振り込め詐欺やオレオレ詐欺は対象となりません。ちょっと納得しがたいですが、だまされたとはいえ、本人の意思で行動しているからという解釈のようです。この件については、判決事例が公表されています。警視庁によると、2014年の振り込め詐欺などの特殊詐欺の被害額は約560億円に上ります。詐欺には日ごろから十分に気を付けるしかありませんね。

まとめ

年末調整では受けられない所得控除のひとつが雑損控除です。日ごろはあまり関心がなくても、実際に災難にあうと精神的にも金銭的にもダメージが大きいものです。税金には個人の事情に配慮した制度がいろいろあります。知らなかったではもったいない! 節税効果のある制度は、賢く利用しましょう。

文:川﨑由紀子(税理士)

参考:雑損控除 | 公表裁決事例等の紹介 | 国税不服審判所

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