払い過ぎた相続税、取り戻せるってほんと?

「相続税が高すぎる!おかしい!」「こんなに高い相続税、何か納得できない……」という場合、5年以内であれば支払い済みであっても相続税が取り戻せるかもしれません。その仕組みと取り戻す方法について解説しましょう。

払い過ぎた相続税って還ってくるの?

仮に相続税額の計算をして、納付税額が100万円となったとしましょう。この税額を申告納付期限である10ヵ月以内に支払いをしたあと、計算に誤りがあることに気が付きました。正しい計算では80万円で良かったので、20万円も払い過ぎたことになります。

この場合、払い過ぎた20万円はどうなってしまうのでしょうか? 実は、相続税に限らず既におこなった申告についても払い過ぎた税額がある場合には、その金額を戻してもらう「更生の請求」という手続きがあります。この手続きを行うことで、払い過ぎた20万円が還付されるのです。

還付手続きはいつでもできるの?

では、この手続きはいつ行えば良いのでしょうか。更生の請求には、相続税法32条により更生の請求と、国税通則法第23条による更正の請求があり、更生の請求を行う理由によって期限が異なってきます。

理由を大きく2つに分けると、後発的事由により既に提出した申告のもととなった金額が変わり払い過ぎになる場合と、控除の適用漏れや計算の誤りにより払い過ぎになる場合が考えられます。

相続税法第32条の更生の請求は、未分割で申告していた遺産が分割された、遺言がみつかったといった後発的事由の場合に、その事由が生じたことを知った日から4ヵ月以内に申告します。一方、判決などで計算の基礎とした事実と異なることが判明した場合は、国税通則法23条の後発的事由に該当することになり、その事由が生じたことを知った日から2ヵ月以内が更生の請求期限となります。

国税通則法による計算に誤りなどがあった場合は、平成23年12月2日以後に法定申告期限がくる申告は、法定申告期限から5年以内が更生の請求期限となります。余談ですが、平成23年12月2日より前は法定申告期限から1年以内と期限がとても短かったので「誤りに気がついたときにはすでに更生の請求期限が過ぎていた……」などという例もあります。

還付手続きの方法

では、払い過ぎた税額の還付をうけるための「更生の請求」の手続きはどのようにすればよいのでしょうか。

日本は申告納税制度を採用しています。申告納税制度は、納税者自らが税法を正しく理解し、その税法に従って正しい申告と納税をするという制度です。よって不足している場合には修正を求められることはあっても、払い過ぎであるからといって税務署から納め過ぎですという連絡はきません。そのため、自ら「更生の請求」という手続きをとる必要があるのです。

国税庁のHPに相続税・贈与税共通の更生の請求書のPDFファイルがあるので、自分でプリントアウトして、税目に相続税と記載して次のような手順でそれぞれ記載していきましょう。

  1. 更生の請求の対象となった申告及び申告書提出年月日を記載します。
  2. 申告に係る課税価額、税額等及び更生の請求による課税価額、税額などという別紙に添付した書類の内容を記載します。
  3. 提出の際には、更生の請求の理由の基礎となる事実を証明する書類などを添付します。
  4. 更生の請求をするに至った事情の詳細、そのほか参考となるべき事項を記載します

このほかに、還付金を振り込む口座情報を記載して、申告した税務署に提出しましょう。

まとめ

払い過ぎた場合には、更生の請求という手続きをとることで、払い過ぎた税額を取り戻すことができます。一方、前回申告納付した金額が少なかった場合には修正申告という別の手続きになります。相続税の申告は相続人全員で行います。そのため誰かの税額が払い過ぎということは、だれかの税額が不足しているという可能性もありますのでご注意下さい。

文:添田裕美(税理士)

参考:

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