相続する人が未成年者のときに適用される未成年者控除とは?

若くして両親がなくなると、相続人がまだ小学生だったり、18歳といった未成年者だったり……といったことも起こりえます。こうした場合、相続税の額から一定の金額を差し引く未成年者控除が受けられます。未成年者控除について解説します。

なぜこうした措置が設けられているの?
配偶者控除は、残された配偶者へ今後の生活を考慮するのに設けられたのが理由のひとつです。同じように、未成年者も通常収入がないため、成人するまで相続財産に頼ることになります。

そこで未成年者が成人するまでにかかる養育費や教育費の負担を考慮して、20歳未満の相続人がいる場合には、未成年者控除という措置が設けられました。未成年者控除は、未成年者の相続税額から一定額を控除することができます。

未成年者控除が受けられる人の条件

未成年者控除が受けられる人の条件は、被相続人から相続や遺贈で財産を取得したときに、下記を満たしている必要があります。

  • 日本に住んでいること
  • 20歳未満であること
  • 法定相続人であること

日本に住んでいない人でも、一定の条件を満たす場合には未成年者控除を受けることができます。また、代襲相続人となった孫が条件を満たす場合にも、未成年者控除を受けることができます。

なお、日本では民法上20歳以上か、20歳未満でも結婚していれば成人とされますが、相続税の計算における未成年者控除は、年齢が20歳未満かどうかで考えます。

未成年者控除で差し引かれる税金の額

未成年者控除の額は、相続人であるその未成年者が20歳に達するまでの年数1年につき10万円で計算した金額になります。この1年あたりの金額が従来は6万円でしたが、平成27年1月1日以降に開始した相続より10万円に増額されました。

なお、20歳までの年数の計算方法は、1年未満の端数は切り上げます。例えば未成年者の年齢が16歳8ヵ月の場合、20歳までの年数は3年4ヵ月です。4ヵ月を切り上げ、4年です。よって未成年者控除の金額は10万円×4年=40万円ということになります。

未成年者控除額が、その未成年者本人の税額より大きい場合

未成年者が取得する財産の金額によって、相続税額は変わってきます。未成年者が相続財産を取得しない場合もあります。その場合、この未成年者控除はどうなってしまうのでしょうか。

もし、その未成年者の相続税額よりも未成年者控除額が大きい場合は、控除額を全額引くことができません。この場合、引かれずに残った金額は、その未成年者の扶養義務者の相続税額から控除できます。ここでいう扶養義務者とは、配偶者、直系血族及び兄弟姉妹などの一定の親族をいいます。

例えば、未成年者が相続財産を取得せず、母親が相続財産を全額取得した場合を考えてみましょう。この場合、未成年者の相続税額は0円です。先ほど16歳8ヵ月のとき、未成年者控除は40万円でした。税額が0円なので、40万円の控除を全額使っていません。さらに、扶養義務者である母親の税額が50万円だとすると、使っていない未成年者控除の40万円をそこから差し引き、母親の相続税額は10万円となります。

扶養義務者が2人以上いる場合は、按分計算か、協議して差し引く金額を決めます。

すでに未成年者控除を受けている場合

今回、未成年者控除を使おうと思っている未成年者が、以前にも未成年者控除を使用していた場合は、控除額が制限されます。具体的には、前回使用した分を差し引いて、残額がある場合にその残額を控除することになります。

まとめ

相続税額の計算上、相続人に未成年者がいる場合には、未成年者控除を受けることができます。また遺産分割協議のときに、他の相続人となる扶養義務者と利害関係が衝突します。よって家庭裁判所で特別代理人を選定する必要がありますので、相続税の申告は余裕をもってご準備下さい。

文:添田裕美(税理士)

参考:

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