バカにならない印紙税の節約方法

契約書に貼り付ける収入印紙。「貼るのはルールだから」「必要なものだから」と、なんの疑いもなく支出していませんか? 契約書を作成する機会が多いと印紙代もバカにならないものです。ところが、この費用を節約する方法があるのです。

書類に貼る印紙の金額を下げる

印紙税は、契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金で、一定の文書が課税の対象となります。

納付すべき印紙税の額は、その内容にかかわらず定額であるものや、契約書の内容や契約金額、受取金額などによって異なってくるものもあります。その仕組みをうまく使えば、多少なりとも節約できます。1回の印紙税額はそれほど高くなくても「ちりも積もれば」ですよ。

  • 分割する・一括する

印紙税は、ひとつの文書ごとに、課税されます。内容が2つ以上であったり、契約書と領収書が混合していたりしても1つの文書として取り扱われます。記載金額によって印紙税額が決まるもの、たとえば、請負契約書や売上代金の領収書などは、内容と金額を検討すれば、お得な組み合わせが見つかるかもしれません。

  • 消費税額を明記する

記載金額に消費税が明記されていれば、消費税を除いた金額で判定します。消費税の区分がなければ、総額で判定されてしまいます。売買代金の領収書は、税抜きで5万円未満は非課税ですが、税込みで5万円を超えると区分が明示されなければ200円の印紙を貼らなくてはなりません。

  • 金額を相殺する

売掛金と買掛金を相殺して、差額を受け取った場合には、差額相当分の印紙を貼れば済みます。たとえば、売掛金300万円のうち、200万円を買掛金と相殺し100万円を受け取ったとします。領収書の金額は300万円でも、相殺の旨を記載しておけば、100万円分の印紙税で済みます。

  • 契約内容を確認する

少し難しい話ですが、契約の内容が「請負」か「委任」によって印紙税の取扱いが異なります。また、「請負」でも金額の記載のない契約であるとか、継続的取引の基本となる契約書で期間が3ヵ月を超える場合などで変わってきます。内容によってはかなり微妙な部分もありますが、一度見直してもよいでしょう。

書類そのものを省略すれば負担を少なくできる

課税文書を作れば印紙を貼らなくてはなりません。代用できるものがあれば、書類を作らなければよいのです。

Ø  コピーを利用する

契約書は通常、当事者が1通ずつ所持します。当事者分の契約書を作成すれば、当事者の数だけ収入印紙が必要です。しかし、原本を1通のみとし、ほかはコピーを利用すれば、収入印紙は1通分で節約できます。

Ø  振込やクレジット決済を利用する

現金の受け渡しでは、領収書を発行しないわけにはいきませんが、振込であれば、相手方に振込の控えが残るので、それを領収書代わりにしてもらえれば、領収書の発行を省略できます。また、クレジットカード払いの領収書には、カード利用を明記すれば印紙はいりません。

契約書も電子化すれば印紙は不要

印紙税の課税対象は「文書」であり、納税義務者はその文書の作成者です。しかし、電子データのやりとりによる契約などは印紙税での不課税文書とみなされます。印紙税法の第2条に「~に掲げる文書には、この法律により、印紙税を課する」とあります。ここでいう「この文書」とは紙の文書をさしており、電子文書は課税文書に該当しないとされています。そのため、印紙が不要になるのです。

  • 契約書をPDFにする

契約書をPDFにして、メール添付送信しても双方の合意が確認できれば契約は成立します。紙ではないので、印紙は不要です。受信した方が印刷して保管したとしても、コピーを持っているのと同じで課税文書になりません。

  • 電子定款を利用する

会社設立の際は定款を作成する必要があります。定款認証には収入印紙が必要です。しかし、電子定款を利用すると、課税文書に該当しないため、印紙税4万円が節約できます。

まとめ

契約書に貼り付ける収入印紙。「ルールだから」「必要だから」となんの疑いもなく支出せず、記載方法などちょっとした工夫で印紙税の費用を節約しましょう。書類の電子化は、時代の流れともいえます。セキュリティー対策は必須ですが、積極的に利用して紙代や書類を保管するファイル、それを陳列する棚などの備品も節約したいものです。

文:川﨑由紀子(税理士)

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