相続税が節税できる?「小規模宅地等の評価減の特例」とは?

大都市圏では、小さな土地にひしめき合うようにして住居が建てられています。相続税は路線価格をもとに課税されるため、地価の高いエリアでは相続税を支払えずに大切な家を手放すことも……。こうした問題に配慮するために設けられているのが「小規模宅地等の評価減の特例」なのです。

「小規模宅地等の評価減の特例」ってどんな制度?

制度の内容

相続税法では、「相続、遺贈により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価により、当該財産の価額から控除すべき債務の金額は、その時の現況による。」と規定されており、土地については亡くなった時点での時価で評価することとされています。しかし、相続税が支払えずに土地を売却するようなことになると、その宅地での事業の承継ができなくなったり、住む家を出ていかなければならなくなったりします。これを防ぐために、一定の要件を満たす場合には、一定の割合を減額できることにしたのです。

おもな特例の対象となる宅地等

この規定の適用を受けるためには、被相続人がその宅地等をどのように使っていたかがポイントです。

特定事業用宅地等

相続開始の直前において被相続人等の事業(貸付事業を除きます。以下同じです。)の用に供されていた宅地等(ア.被相続人の事業の用に供されていた宅地等、イ.被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の事業の用に供されていた宅地等)で、事業承継要件及び保有要件の全てに該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したものをいいます。

特定居住用宅地等

相続開始の直前において被相続人等の居住の用に供されていた宅地等(代表的なものとして、ア.被相続人の居住の用に供されていた宅地等、イ.被相続人と生計を一にする被相続人の親族の居住の用に供されていた宅地等)については、取得者ごとの要件に該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したものをいいます。なお、その宅地等が2つ以上ある場合には、主としてその居住の用に供していた一の宅地等に限ります。

特定同族会社事業用宅地等

相続開始の直前から相続税の申告期限まで一定の法人の事業(貸付業を除きます。)の用に供されていた宅地等で、法人役員及び保有継続要件の全てに該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したものをいいます。なお、一定の法人とは、相続開始の直前において被相続人及び被相続人の親族等が法人の発行済株式の総数又は出資の総額の50%超を有している場面におけるその法人をいいます。

貸付事業用宅地等

相続開始の直前において被相続人等の貸付事業の用に供されていた宅地等(ア.被相続人の貸付事業の用に供されていた宅地等、イ.被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の貸付事業の用に供されていた宅地等)で、事業継続要件及び保有継続要件の全てに該当する親族が相続又は遺贈により取得したものをいいます。

適用する・しないで金額はどう違う?

小規模宅地等の特例は、宅地を相続により取得した場合で、相続税の負担が重くなってしまい生活が困窮しないようにするための救済措置です。したがって、その減額する割合も大きくなっています。

80%減額

特定事業用宅地等に該当する宅地等で相続開始の直前において貸付事業以外の事業用のもの(400㎡まで)や、特定居住用宅地等に該当する宅地等で相続開始の直前において被相続人等の居住の用に供されていたもの(330㎡まで)が該当します。

50%減額

貸付事業用宅地等に該当する宅地等で一定の法人や被相続人の貸付事業用のもの(200㎡まで)が該当します。

まとめ

小規模宅地等の評価減は、大きな評価減が取れる特例です。この制度の趣旨を理解し、最大限に有効利用すれば相続税の節税につながります。

文:松本恒(税理士)

参考:

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