「できていなかった!」と後悔しないために生前贈与で気をつけたいポイント

生前贈与をしたつもりでも、税務署から調査を受けた際に認められないことは珍しくありません。贈与が出来ている・できていないを判断する境目とはなんなのでしょうか。

生前贈与が成立する条件

お持ちの資産をお子さんやお孫さんにあげることで、将来かかるであろう相続税を節税できることがあります。特に預金に関して、「あげたつもり」が、亡くなった後に相続税の申告や調査を受けて、「あげたことになっていなかった」と判明することが多いのです。

生前贈与が成立する主な条件の4つのポイントを確認してみましょう。

1.贈与契約書を作成する

誰に対する贈与か、また贈与した日、贈与した金額を特定するための書類です。また毎年同じ時期に同じ金額での贈与は連年贈与とみなされる可能性があるのでご注意下さい。

2.証拠を残す

現金ではなく、通帳を通して送金するなど贈与した証拠を残しましょう。

3.通帳、印鑑は財産をもらった人が管理する

同じ印鑑を使用していたり、通帳を渡したりしていないと名義預金とみなされ生前贈与したことになりません。

4.申告が必要な場合は贈与税の申告を行う

110万円以下の場合、申告不要のため贈与の証明ができないというデメリットがあります。あえて贈与税を支払うことで贈与を証明することもあります。

財産を持っている人が亡くなったときにかかるのが「相続税」、まだ元気なうちに財産を子どもや孫にあげたときにかかるのが「贈与税」です。贈与税は暦年課税と相続時精算課税と、大きく2つにわけることができます。現在、高齢者が所有する資産を若い世代に移転してもらおうと、贈与に関していろいろな政策が行われています。子どもや孫が自宅を購入するとき、孫の学資資金、子どもの結婚資金など、該当する場合には節税が見込まれますが、その分申告を要件としていたり、改正されていたりすることも多いのでこまめなチェックが必要です。

今回、説明するのは暦年課税のケースです。暦年課税は、贈与を受ける人がその年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった財産の価額の合計額が110万円以下であれば、贈与税はかからないというものです。

連年無申告の贈与とは

贈与契約は一方が「財産をただであげます」といって、もう一方が「はい、もらいます」と承諾することで成り立つ契約です。贈与契約書はそれを書面で取り交わしたものです。公証人役場にいき確定日付をとる場合もあります。

では、連年無申告の贈与とはなんでしょうか?

贈与税の基礎控除である110万円以下であれば本来申告不要です。申告不要ということは贈与の証明が公的にされていないことになります。

また贈与契約は財産をあげる人ともらう人との間の契約でした。よってこの契約は毎年交わされるものになります。例えば1年ごとに100万円を生前贈与し結果として10年間行ったので、1,000万円生前贈与した場合の贈与税はゼロです。しかし、毎年年末に100万円ずつ生前贈与して10年経過し、1,000万円生前贈与した場合、当初から1,000万円の生前贈与をする意思があったとみなされて350万円くらい贈与税がかかってしまう場合があるのです。

生前贈与が成立していなかった場合のペナルティ

生前贈与が成立していない場合、贈与されていないのですから相続財産として相続税の対象になります。

また相続税の申告期限後にわかった場合には、生前贈与が成立しなかった財産の増額分の相続税に加え、過少申告加算税、延滞税、場合によっては、無申告加算税や重加算税などのペナルティがかかります。

過少申告加算税は最大15%で、重加算税は税額の最大40%です。

まとめ

税金が少しでも安くなればと思って贈与したのに、逆に高くなってしまったなどといったことのないように、生前贈与をご検討の際は、生前贈与が成立する条件をご確認下さい。迷ったら専門家に相談されることをお勧めします。

文:添田裕美(税理士)

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