2015年の年末調整で注意すべき点とは?

年末調整の季節です。そもそも年末調整というのは何なのでしょうか? 各種規定の注意点や留意すべき点について確認していきましょう。

年末調整とは簡易確定申告である

まず、確定申告について考えてみましょう。確定申告とは、「その人が1年間に得た所得(儲け)を計算し、いろいろな事情を考慮して、一体いくらの税金を支払うべきなのか」を確定させるための手続きです。

確定申告には、何かと手間暇がかかります。儲けを確定させるための会計処理、そこから税金を計算させるための各種整理など、その手続きはかなり煩雑です。

しかし、実は給与所得者(サラリーマン)については少し事情が異なります。サラリーマンの場合、「一体いくら儲けているのか?」という計算をするのは、さほど難しくありません。それは、もらっている給料の金額さえわかれば、儲けの金額が自動的に計算されてしまうからです。

また、日本では、雇用形態は異なっていても、大多数が雇用先から給与を受け取るサラリーマンとして働いています。もし、この人たち全員が確定申告の処理を行うとなると、膨大な量の事務処理が発生します。納税者側も大変ですし、それを受け付ける課税庁も大変です。どちらにとっても、事務作業が増えることは好ましいことではありません。

そこで、サラリーマンについては「会社のほうで計算に必要な書類を預かって、パパっと処理をしてください」という仕組みができました。それが年末調整です。

年末調整で必要なこと

スムーズに年末調整を進めるためには、以下のような点に注意が必要です。

給与台帳の整理

年末調整において最も基本となる資料です。これを年始から年末分まで、しっかりと整理整頓しておくことが何よりも重要です。

必要な資料を早めに配布しておく

年末調整に必要な資料はいくつかあります。「扶養控除等申告書」「保険料等控除申告書」など、会社側から社員さんに配布しなければならない資料は早めに手渡しておきましょう。

提出してもらうべき資料を早めに周知しておく

所得税における各種優遇策のなかには、証明書が必要なものも多数あります。生命保険料や地震保険料に関するものがその最たるものです。年末調整において回収に最も時間がかかるのが、これらの資料です。

年末調整ではできないこともある

先ほど紹介したように、年末調整は簡易確定申告です。簡易ですので、できる処理には限界があります。よく混同をして、以下のような書類を年末調整の時に持ってきてしまう人がいます。その点にも留意しましょう。

医療費控除

医療費控除とは、医療費がそれなりの多額(1年間で10万円以上が目安となることが多い)であるときには、課税対象となる所得の金額をいくらか減らしてくれる特例です。これは年末調整でできるものではなく、確定申告が必要です。

初年度の住宅ローン控除

家をローンで購入したときによく利用される制度です。皆さんも報道等でよくご存じではないでしょうか? この規定をサラリーマンが受けたい場合、初年度に確定申告をする必要があります。その際に選択をすることで、次年度以降は年末調整時に処理をすることができます。

2015年最大の留意点はマイナンバー制度

2015年の年末調整を行うにあたり、おそらく一番大変なのはマイナンバー制度への対応です。所得税の計算自体には何の影響もありませんが、そのやりとりには多大なる労力を要することになります。

2016年から始動するマイナンバー制度ですが、番号の通知はすでに開始されています。そして、この番号収集が、すでに多くの企業で開始されているのです。番号の収集時には、「通知カードの確認」や社員の家族に関するマイナンバー収集など、非常に多くのデータを集めなければなりません。

そうやって預かった番号は適切に保管する必要があり、万が一漏洩することなどがあると、大問題へと発展してしまう可能性があります。

マイナンバーについては年末調整による所得税計算と少し分野が異なりますが、実務的には当年において最も重要で繊細な対応が求められるところです。中小零細企業においても、適切な対応を行うことが求められています。

まとめ

年末調整とは簡易確定申告のことであり、サラリーマンの所得税計算を、会社が資料を収集して代行してあげるための仕組みです。円滑に行うためには、給与台帳の整理、早めの資料配布および収集などが必要です。なお、今年はマイナンバー制度の開始もあり、資料・データ収集およびその管理について高度な対応が必要となります。

文:高橋昌也(税理士)

参考:国税庁|税について調べる|パンフレット・手引き|平成27年分 年末調整のしかた

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